おまけ


「そういえば名前のばあちゃんってえーと…あ、こう言う名前か?」

坂田さんもとい銀さんは紙に名前を書く。
そこから出てきた文字は祖母の名前だった。

「あ、はい。そうですが…」

「マジか…」

「本当に決まってんだろ」

バサリと降りてきた土方さんは紙に書かれた名前を見てそう言った。

「え、祖母がどうしたんですか?」

「いや…そのよ名前…。名前のばあちゃんと、昔付き合ってたんだよ」

「え、坂田さんがですか?」

「いや、俺だ」

キセルを吸い煙を吐き出す土方さん。

「………は?」

「昔といっても名字さんの祖母、あの人がまだ10代の頃、気を抜いてこの神社に居たら話かけられてな。それでお互い話すようになって付き合うことになった。
だが相手は人だ。永遠の時を生きれないから手を離したってわけだ」

「…おばあちゃん…」

「切ないモンだ。だからあんたにはやめて欲しかっただけだ」

はぁ、と煙をを出す土方さん。その目には祖母が映っているのだろう。

「………でも言ってました。昔凄く好きになった人がいたけど別れた、でも人生の中で片手の数に入るくらい幸せな時だったわ、って」

「………そう、か」

私たちに後ろを向いて呟く土方さん。声をかけようとしたがそのままシャリン、と音を鳴らして消えてしまった。

「嬉しかったんだろうよ、奴も」

「…そうでしょうか…」

私には土方さんの顔が見えないが、祖母は嬉しそうに話していた。
ー名前、そう言う人を見つけなさい。自分のことを見てくれて、愛してくれる人を。

愛してくれる人を、見つけたよ。
これからどんなことが待っていようと、この人とならどうにかなると思う。だから、見守っててね。



(ところで夢の中でなんで坂田さんのところへ来ちゃいけないなんて言ったんですか?)
(いやそれは…なんつーか、かっこいいじゃん?そっちの方がよ…)
(は?)
(やめてこわい顔が怖い)
(別れようかな)
(いやだアアア!ごめんなさい!)




 

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