本日晴天なり、本日晴天なり。しかし銀時の心はずしっと曇り空だ。





「銀さぁあああんんん!」
「銀ちゃあああんんん!」

ガシッ!と両脇から女二人に挟まれている銀時はさながら"モテモテ"状態である。"はたから見たら"だが。

「なによ貴方、私の銀さんに腕を組んで。私の銀さんにはこの私しか相応しくないのよどきなさい!」

「それはこっちの台詞ですよ!なんですか貴方!私こそ銀ちゃんに相応しいんです!」

「あのさ…やめてくれない、ストーカー共…」

挟まれているのはストーカー2人のさっちゃんのこと猿飛あやめと苗字名前だ。
二人は銀時を片手に火花を散らして睨み合っている。

「ちょっと銀さん!私とは遊びだったのね!?」

「銀ちゃん酷いよっ…!私とはあんなことやそんなこともやったのに…」

「まて馬鹿共。俺は付き合ってもねーし何もやってねーよ」

「ちょっと貴方。私とキャラ丸かぶりじゃない!ストーカーに巨乳に銀さん大好きドM属性!」

「それはさっちゃんもでしょ!?しかも私ドMじゃないし!」

「…お願いだから俺を巻き込まないで。て、いうか名前ドMなの?え、まじで?」

「銀さん、この人私と同じ匂いがするわ。かなりのドMよ。キャラ丸かぶりじゃない!それじゃ私の面子丸潰れじゃない」

「え、まじで?まじか。」

ふむふむと何かを考える銀時と名前を見ながらじっくり観察するように見るさっちゃん。

「おい私の話を聞けよバカ」


ギャーギャー道端で3人が話している。傍からみたら修羅場にも見えることはない。

「はいはい修羅場は家でやりなさーい。おまわりさん大変なんだからー」

「あ、沖田くん」

「げ、総一郎くん」

「総悟です旦那。名前さんはこんなところで何やってんですかィ?」

「さっちゃんと…あれ?」

名前の手には手紙があった。そこには、【私は任務があるからここでお暇するわ。あとで決闘つけましょう。さっちゃん】
と書いてあった。

「なんですかィ?浮気ですか旦那ァ、ほどほどにしないと大変ですぜェ」

「浮気もなにも付き合ってねーよ。前も言ったけど付き合ってないからね?」

「沖田くんはどうしたの?」

「オイ俺の話聞いてる?おーい」

「名前さん屯所に来てくれないですかィ?実は昼飯食ってねーんでさァ。この通り死にそうで俺ァ目の前にいるのが旦那なのか綿菓子なのかわかんねぇや」

沖田がお腹をさすさすと擦るようにほそぼそと言った。

「あれ…ほかの隊士さん作れないの?」

「特訓で走りに行ってて、その疲れた身体で飯なんか作ったらそれはもう塩砂糖間違えたりする始末、土方さんに作らせたら犬の餌。そんなこんなで名前さんにはまた来てくれないかと」

そんな隊士の姿が目にもうかぶようだった。しかも土方さんが作るとマヨネーズだらけで疲れた身体に良くない。

「うん、わかった、行くよ」

「てことで旦那、名前さん借りますね」

「おーおー、もってけもってけ。俺はせいせいすらァ」

「じゃあ明日の朝まで借りますねィ」

「は?一日じゃねーか。こいつに休みもねーの?それはひでー仕事だなァ」

沖田はニヤッとした顔で銀時の耳元で囁いた

「隊士の疲れを取るのも名前さんの役目。いいじゃねーですかィ。どうせ旦那とは付き合ってねーよしナニしても」

「おまえ…」

「じゃあまた」

「銀ちゃんまたね!」

手をぶんぶん振りながら満面の笑みで俺に言う名前。 すこし呆然とする銀時。

「…まて、名前の仕事って、なに…?」





私は沖田くんに言われて真選組屯所へ来た。

「じゃあよろしく頼みまさァ」

「わかりました、そうだあとでお団子食べる?」

「…みらたしな、」

「はい」

私は沖田くんの話を聞きながら、屯所を歩き着物の袖をたすきがけする。相変わらず屯所は広いなぁ…

「あ、名前!」

「ゴリ、近藤さん!」

「今ゴリって言った?ねぇ言ったよね?」

「私は近藤さんと言っただけです」

「そ、そう…?いやぁごめんなァ、隊士達が疲れてて料理は不味い、洗濯すら満足にできないんだ」

「いえ、これは私の仕事ですし、大丈夫ですよ」

「それでも名前ちゃんは朝と夜ご飯を作る仕事なのに今日は一日中ですまないなぁ…」

「いえ、料理作るのだけは好きなので」

「それなら助かるよ、ありがとう!じゃあよろしくな!」

「はい!」

私はお腹を空かせているであろう隊士さん達のために急いで台所へ向かい、私は包丁を握った
トントン、と心地のいい音がする。今夜は疲れに効く豚肉を使った生姜焼だ。
そういえば万事屋のご飯大丈夫かな。今夜の万事屋のご飯当番神楽ちゃんだよね?卵かけご飯かな…そんなことを思いつつどんどん手を進めていった。

「よし!できましたよー!」

そう言うと隊士さん達がわらわらきた。どんどん配膳のおぼんにのせる

「いただきまーす!」
「うめぇええ!サイコー!」
「味噌汁も疲れた身体に染み渡る…」

そう野太い声が響くとガツガツとご飯を食べてくれる。唯一料理だけしか取り柄のない私だけどそんなことで役立つならすごく嬉しいことだ。

「やっぱ名前の料理はうまいな!」

「近藤さんありがとうございます」

「そう思わんかい、トシ!」

「おー…まぁまぁ、だな」

「そうそう、名前の料理はまぁまぁ、でさァ」

「トシも総悟も美味しいだと!」

ガシガシと私の頭をなでながらガハハ!と笑う近藤さん。お父さんみたいな人だなと、こんなあたたかい真選組が大好きだ。




そのころ銀時は、万事屋でちびちびお酒を煽りつつ3人でご飯を食べていた。

「ちょっと銀さん、飲み過ぎないでくださいよ」

「新八止めないほうがいいアル。銀ちゃんは名前にフラれたアル」

「ちげぇよバッカやろー」

ムスッとした感じでお酒を煽っていた。それはもう楽しいおもちゃを取り上げられた子供みたいだった。

「あ、そういえば名前居ないアルな」

「名前さんは真選組でご飯作ってるらしいよ」

「ええー名前のご飯食べたいアル…酢昆布卵焼き…なんであんな奴等に名前の美味しいご飯を食べさせなきゃいけないネ」

神楽はヨダレをたらしながらうっとりと思いふけていた。たぶん彼女の脳内には酢昆布卵焼きがたくさんあるのだろう。

「それは名前さんの仕事だからね」

「仕事?」

神楽と新八が話してる内容を銀時はなにも言葉も発しずただ酒を飲みながら聞いている

「うん、名前さん料理上手でしょ?それは真選組で朝ごはんを作ってるんだって。だからあんなに美味しいご飯を作れるんだって」

「へぇー、名前も大変アルな。あんなに大人数のご飯作るの」

「"私のご飯を食べて元気になったりしてくれればそれでいい"て言ってたよ。名前さん優しいね」

「優しいアル!だからマヨラーとかと良く話してる姿よく見るアルかー」

わいわいと2人話してる内容を聞いている。だから万事屋にもくるのかとか、なんでマヨラーと話してるのかとか、だから総一郎くんと仲いいのかとか、いろいろ合致した。なんか、なんか

「…俺ァもう寝る」

「おやすみヨー」

「おやすみなさい」

俺は足早に寝室に足を運んだ。
なんかムカムカする。きっと酒のせいだ。そうだ、寝れば収まる。そんなことを祈り俺は眠りについた。

(こんな感情しらない、)







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