「ぎぃーんちゃぁあんんっ」

「あー!うるせぇストーカー!」





万事屋、そこに朝からストーカーの声が響いていた。

「銀ちゃん!おはよっグッモーニン起きて!」

「あー、うるせぇ、まじうるさい」

「そんなこと言ってー嬉しいんでしょ」

万事屋の寝室にとある女が一人、苗字名前という女がいる。彼女は立派なストーカーであった。

「うるせーんだよ!昨日はさっちゃんが来て!今日はお前か!」

「ほんとは嬉しいんじゃない?うふふ」

「だれがいつ嬉しいっていったよ」

「昨日とか?」

「誰がいうかバカ」

もぞもぞと再び布団を深く被る銀時。ふわふわの銀髪の天パは白い布団の中へ消えていった

「ん…?名前…?」

寝室で話していると眠気眼の神楽が目を擦りながら寝室を覗いていた

「神楽ちゃんおはよ!ご飯出来てるから顔洗っておいで?」

「ヒャッホー!ご飯アルー!」

「銀ちゃんもご飯食べよ?」

「俺は後でいい」

「…そっか、なら先食べちゃうね」

名前は寝室を閉め台所に向かった。


苗字名前、あいつが万事屋に来たのは依頼だった。至極簡単な内容で、ストラップを探してほしいという依頼だった。
初めて見た時俺のストライクゾーンど真ん中な性格と見た目に胸が意外とデカイというのも俺の中でポイントだった。
しかしコイツはのどこぞのストーカー忍者のようにしつこかった。

「(黙ってればかわいいのにな)」

いつも朝は名前が用意してくれてた。俺は眠いからといっていつも冷めた飯を食っていた。もちろん名前の姿はない。

「…ごちそーさん」

カラン、と味噌汁の器を置く。今日は豆腐のわかめだった。

「…銀ちゃん、」

「んぁ?どうした、神楽」

神楽は俯きながら俺のそばへ来た。心なしか顔が暗い

「名前、もうこないって」

「…ふーん、そりゃいいや、ストーカーが一人減るんだ」

朝飯の玉子焼きいつもより甘くなかった

「泣きながら、朝ごはん作ってたヨ…」

味噌汁も白米も、微妙だった。

「私、名前に聞いたネ…」

いつもは俺の好みにつくられる食事。多分神楽のは神楽が好きなような味で作られているんだっておもう。

「もう、疲れちゃったって、言ってたヨ…」

…ちがう。これが名前の作った名前の味の飯なんだ。
人の好みはかなり難しい
でもそれなのに名前は飯を作っていた。

「もう、名前来ないアルか…?」

「…っ…」

俺は万事屋を飛び出した
どこにいる。そういえばアイツのこと全然わかんねぇ。
好きな色も好きな食べ物もどこに行くのか、何歳なのか、仕事なにやってるのか、学生なのか。なにも知らなかった。

そんな中、黒い服に身を包んだ沖田くんと名前の姿を見つけた
2人仲良さそうに喋っていた。なんか、モヤっとした。
ん?ナニコレ、なんでモヤっとしてんの?ん?
一人もんもんとしてると、少し遠くから、銀ちゃんんんんっと声が聞こえた

「銀ちゃん!お散歩?それともパチンコ?パチンコならお金使いすぎちゃダメだよ!」

俺の目の前でべらべらと話す名前。ぴょんぴょんと楽しそうだ

「な、なぁ…」

「あ!あのね、この前すごく美味しい甘味屋さん見つけたんだ、銀ちゃんの好きな苺!デカいちごパフェ!一緒に食べよー!」

「おいっ!」

「…どうしたの…?」

まともにコイツノ顔を見た。依頼の時以来。

「なんで、万事屋で泣いてた」

「…それ、は…」

俺はこいつにひどいことをした。いつも眠くてコイツの顔を見てないし、飯だってせっかく暖かいもの食わせようとしてくれてたのに俺は冷めたものを食ってた。いつも起きた時には布団がちゃんとかかってたり、二日酔いの時は粥だったり。それなのに、俺は…

「悪ィ…」

「銀ちゃん…?」

名前を、抱きしめた

「ぎぎぎ銀ちゃん!?」

「いつも、朝飯とかありがとう、お前おかげで助かってる」

「………」

こいつ、こんな細かったんだな、とか胸当たるなとか、すげーいい匂いするな、とかこいつを抱きしめてわかった

「俺が原因ならごめん…なんで、泣いてたか教えてくれねェか?」

「…それは、えっと…」

「…ん…?」

頭を撫でながら言葉を待った

「た、」

「た?」


「玉ねぎのみじん切りしてて、目染みて、な、泣いてました…」

「………」

「…神楽ちゃんには玉ねぎなんかで泣いてるの見られて恥ずかしいから、銀ちゃんには言わないでって言ったのに…」

「お前、もう万事屋来ないっていうのは?」

「それはバーゲンがあってね、二日間連続だからもうこないって…あ、あれ?」

………俺の勘違いだったアアアアアッ!バカか!おればバカか!なに勘違いしてんだアアアアッ

「はいはいお二人さんお熱いねぇ」

「うげっ総一郎くん」

「総悟です旦那。名前さんもよかったですね」

「うんっ!えへへ」

ん?よかったな?

ニコニコと沖田君に微笑みかける名前。全く持って状況が掴めない

「総一郎くん、よかったなって?」

沖田に向かって話かけた。甘栗色の髪をサラッとさせ、にこやかに言った

「旦那と名前さんが正式に付き合えて」

「ありがとう!沖田くん!」

ガシィイイッと沖田くんの手を握りぶんぶんと音がする如く上下に揺さぶる名前
は?何言ってんのコイツ。は?ハィイイイッ!?

「はぁああ!?勝手に進めんな!」

「沖田くんには特別にお団子作るね!いつも恋を応援してくれるから」

「いえいえ、気にしないでくだせェ名前さん、俺ァ恋のキューピットでさァ」


俺の話を聞け!






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