「銀ちゃん!」

「うぉ!?」

万事屋のリビングの扉をスパン!と開ける。そこにはソファーに横になりながらジャンプを読む銀ちゃんの姿が。

「銀ちゃん!私は銀ちゃんのことが好き!大好き!」

「は、はぁ!?何だよ急に!」

「だから!私と付き合ってください!」

いつものように想いを伝えて、いつものように言う私。銀ちゃんが何を思っているかわからないけど、私にはこれしかない。

「おま…奴が好きじゃねぇの?」

「え、奴って誰?」

「…あのクソマヨラー」

「土方さん?」

「お、おう…」

「土方さんは私の相談相手…いや、上司…?うーん…なんかマヨネーズだなって」

「とうとう人から調味料になっちまってるよ」

「銀ちゃん…まさか、私と土方さんが付き合ってると思ってたの?」

「…ちげェよ、アホ名前」

「私は銀ちゃん一筋だよ!だから付き合ってください!」

にっこり笑うと銀ちゃんは私を見て呆れるような、困ったような顔をしてため息をついた。

「付き合わねーよ、ストーカーさんよ」

「ええーケチ」

そんなこんなで話しているとピンポーン、と万事屋のチャイムが鳴り、名前さーん、なんて声が聞こえてきた。

「沖田くん、かな?」

ガラリととを開けて私に向かって話す。

「屯所帰りやしょう」

「はい!わかりました!」

「はや!切り替え早!?って、おいおい、家に帰さねェの?」

玄関まで見送ってくれる銀ちゃんを見て、カッコいい…なんて思っていたら、沖田くんから「あんたはさっさとパトカー乗る。俺早く落語聴きてェんでさァ」なんて言われたから渋々下へ降りる。



「名前さんは、俺たち真選組のモンでさァ」

「はぁ?」

「いつも料理を作ってくれて洗濯してくれて、その辺の女中よりよっぽど心地いい。だから旦那、あのクソマヨラーの他にも俺がいることを忘れないでくだせェ」

そう言って沖田は名前の乗るパトカーへ向かう。
しん…となった万事屋の玄関を銀時1人いる。

「…土方クンなんかよりも、沖田クンの方がよっぽど葉っぱかけなきゃいけなかった人物だな」

ぼりぼり頭を掻きリビングへ向かう銀時は、めんどくさそうなため息をつく。






「はぁああ!銀ちゃんカッコよかった!かっこよかったね!沖田くん!」

「はぁ」

「ねぇ!聞いてるの!?今度うちわ持っていこうかな…」

「団扇?」

「うちわ!アイドルのコンサートでうちわあるじゃない?あれみたいに、こっち向いて!とか投げキッスして!とか」

「あんた旦那の事になると頭悪くなりやすよね」

「へへっ…」

「褒めてない」

ぶーんと走るパトカーの車内でワイワイ話す私と沖田くん。ちらりと沖田くんの方を見ると運転をしている横顔が整っていてかっこいいなぁと思ってしまった。
女中さん達と話すこともあるが、沖田さんはかっこいい男だとか、土方さんは色男だとか、近藤さんはゴリラだとか。

「名前さんは」

「ん?」

「名前さんは、旦那以外好きにならない予定で?」

突然の言葉だった。

「うん、勿論!」

「それは」

キュッと沖田くんが運転するパトカーが止まる。

「他の男に告白されても?」

「…おきた、くん?」

するりと手を私の手と絡める、それは存在を確かめるように。

「俺じゃあ、ダメですかィ?」

「え…?」

しん…とするパトカーの空気が、一瞬で変わったのがわかった。それしか、覚えていない。



\恋ってなんだろう/









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