お仕事お仕事!
\今日もかっこいいです!/「おはようございますー!みなさんおきてくださーい!」
「んぁ…あれ、名前ちゃん?どうしたのこんな朝早く…」
「近藤さんからまた来てって言われて早めに来ちゃいました。おはようございます、原田さん」
「おう…うーん…よく寝た!」
隊士の皆さんを起こして沖田くんの部屋に行く。原田さん曰く「沖田隊長は廊下にいる気配で起きるよ」と言われて廊下にいること早5分。あれ…あれれ…起きてこない…?仕方ない入るか…とからりと戸を開けるとすぅ…と寝息をかく沖田くん。
寝顔を見ると年相応かそれ以下に見えてしまうくらい幼い。まだ沖田くんは18歳、お姉さんのミツバさんが亡くなり1人江戸にいると山崎さんに聞いた。
「沖田くん、起きて。朝だよ」
「うー…」
「沖田くん、朝ごはんは卵焼きとお味噌汁だよ」
「うぅん…」
「…総悟くん、起きて」
そういう時がばっと勢いよく起きる沖田くん。びっくりしたのか私を驚いた目で見ている。
「沖田くんおはよう!顔洗ってきてね、食堂で待ってるね」
「名前さん、今、なんて」
「うーんと、食堂で待ってるね!て言った!」
「…あんた…おちょくってるんですかィ」
「早く起きないとご飯無くなっちゃうよ!」
そう言い沖田くんの部屋を後にする。
今日は朝から晩まで真選組の仕事だ。なんでも女中さんたちがみんなで温泉旅行へ行くらしくそれなら名前ちゃんに頼もう!と言う流れになったらしい。いつもは朝から晩までいることは少ないがこうなったら頑張ってやる!と気合を入れた。
一方万事屋では、銀時が起き朝食の用意をしていた。
「おはようネ銀ちゃん…」
「おー、ほら顔洗ってこい」
「うーん…、あ、名前居ないアルか…」
「なんか朝早く電話かかってきて"今日は朝から真選組で働くから朝ごはん作れなくてごめんねダーリン"てきたわ。ダーリンじゃねぇつーの」
「ふーん…あ!なら銀ちゃん!名前を応援しに行くネ!」
「はぁ?」
銀時の焼いていた卵焼きがジューと焼かれる音がした。
*
「よし!」
「おい名前」
「土方さん!どうされました?」
「今日の昼はアレがくいてぇ」
「アレ…?あ、ポテトサラダですか?わかりました!」
「おう…」
ガタガタと真選組隊士たちの服を干す名前。カゴを持ち名前のそばに置く土方。
「…?」
「なぁ、名前はよ万事屋のどんなところがいいんだ?」
「え!なんですか急に、恥ずかしいじゃないですか。うーん、そうですね…依頼を受けたらちゃんと最後までやってくれて、どんな馬鹿げたことでも親身な顔して聞いてくれて、優しいってところです!」
「そ、そうなのか…」
そんなところなんてあったか?と疑問を覚えてる土方だが、山崎がパタパタと走ってきて「名前さん!万事屋の旦那達が来ましたよ!」と言ってきた。
「え!?ぎ、銀ちゃんが!?え、えっ!?なんで!?やだ、待ってお化粧したい!」
そう言い名前は化粧をパタパタと直す。
*
銀ちゃんが真選組に!?しかも私に会いに!?やだ同じ空気吸えちゃうたくさん吸わないと!
「すぅ………」
「あの…名前さん…?」
新八くんが静かな声で冷静に私に言う。まって新八くん、新八くんが私のことそんな目で見るなんて初めてじゃん?
「はぁ……………」
「なに深呼吸してるんですか…」
「いや…銀ちゃんがいる空気を確かめておこうと思って…」
「名前さん銀さんのことになると本当にストーカー気質ですよね」
「そんなことはないよ新八くん!ストーカーじゃなくて恋焦がれる少女って言ってほしい!」
「少女じゃなくて女性でしょうが!」
新八くんのツッコミもさらりと受け流し銀ちゃんに問いかける。
「どうしたの?銀ちゃんが真選組に来るなんて!私に会いにきたの?」
「は、はぁ!?ちげぇし!か、神楽が名前のところ行くアルー!ていうからよォ」
「私は名前を応援しに行くアルって言っただけネ」
しらりと冷たい言葉をかける神楽ちゃん。どうしたの、何があったの。2人の言葉どちらを信じればいいの。
「おい万事屋、俺たちはお前に構うほど暇じゃねぇんだよ。それに名前だって仕事をしてんだよ」
「はぁ?名前をこんな朝早くから使ってクソニコチンマヨラーは1人たばこスパスパ吸ってるだけですかってんだよ」
「ぎ、銀ちゃん…私はそれが仕事だから…」
「仕事でもちゃんと労働時間つーもんがあんだよォ」
まぁまぁ、と私は銀ちゃんを宥める。私が超過労働をしてると思っているらしい。
「でも私平気だよ?銀ちゃんに会えて幸せだし、真選組の仕事は楽しいよ!あ、そうだ、お昼ご飯一緒に食べようよ!」
「はぁ?」
「土方さんいいですよね?」
「…特別だぞ」
「わぁーい!名前のご飯アル!タダ飯ネ!」
わいわいと喜ぶ神楽ちゃんとすみませんと謝る新八くん。こちらこそすみませんと謝る山崎さんとずっと睨み合っている銀ちゃんと土方さん。な、なんでこんな2人は仲悪いの…
*
「おい」
「…銀ちゃん!どうしたの?」
お昼ご飯が終わり、夜ご飯の下準備中銀ちゃんが台所へ入ってきた。
「お腹すいちゃった?お団子食べる?」
「ちげぇよ」
「…どうしたの…?」
私をじっと見る銀ちゃん。どうしたのだろう。
「…ここの仕事楽しいか?」
「うん!みんな優しくてね、それに私の料理美味しいって食べてくれるの。嬉しいよ、作りがいあるし」
「そうか…」
「…?」
「ここ男だらけだろ?名前がその、襲われたり、その…えーと」
「襲われないよ!だって私銀ちゃんが大好きなんだよ、こうやって喋るだけでしあわせだよ」
トントンと野菜を切る音が心地よく台所へ響く。
「…あいつにも、そんな顔見せんのかよ」
「え?」
トントンと刻む音が止む。それは銀ちゃんが私を後ろから抱きしめたらだ。
「わわわわ!?どどどどどうしたの!?」
「………そんな顔、俺以外に見せんなよ」
「え…」
「…なぁ、名前っ…」
\切ない時間/
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