リップの誘惑


最近気になった女がいる。
綺麗な着物を着て、髪をあげていて、化粧も派手じゃなく自分に合っている化粧の仕方を知っている女。そして少し赤い口紅。最近すごく目を引く。

たまたま外に出たら彼女が居た。
道の端により口紅を直す。それも様になるくらい綺麗だった。
彼女は口紅を塗り終わり再び歩き出した。俺はそれをみていると彼女の足元に先ほど塗った口紅が落ちているのに気がついた。
あぁ、彼女が行ってしまう。
俺はそれを拾い彼女に届ける。

「こんにちわ、おねーさん。これおねーさんの?」

ありがとうございます、なんて言い笑う彼女。微笑む顔にときめく自分がいる。
しばらくした後、いつも行く居酒屋にたまたまいた彼女、名前という名前らしい。

「一緒に呑んでいい?」

と聞くと、彼女はニコッと笑い、ぜひと言われ、色々な話をした。彼女は平々凡々普通の女だった。好きなものはイチゴのショートケーキ、いつも使ってる口紅もストロベリーなんとかっつってたな。コップについた口紅を指で拭うその仕草も様になる。

「俺も好きなんだよ、イチゴ。いちご牛乳すきでさ」

そういうと、それっぽいと笑う。

彼女に惹かれるのに時間は掛からなかった。もっと話したい、もっと笑い合いたい、もっと知りたいと思った時に現れる。
俺の心読んでる?と聞くとそんなことない、と笑みを浮かべる。

「ナイショ」







私は気になる男がいる。
彼は万事屋の坂田銀時。彼の周りには美しい女性や強い女性が多い、もちろんスタイルや胸、顔も可愛い。
私は私に自信がない。

だからあの人の好きそうな格好、好きそうな化粧を練習して、彼が出てきそうな時間に万事屋の少し前の所で化粧を直す。
そして使っている口紅をわざと落とし、少し歩く。彼は多分こっちに来る。

「こんにちわ、おねーさん。これおねーさんの?」

そんな言葉をかけてくる。

「ありがとうございます」

そういいその場を離れた。

たまたま働いてる時に万事屋の旦那はここの居酒屋によく来ると聞いた。…今夜行ってみよう、そう思い普通の女から彼好みの女へ変わる。
カウンターで一人呑んでいると彼が来た。

「一緒に呑んでいい?」

そう聞かれて私はにこりと笑いぜひと答えた。
話していると彼は私の唇のことを言った。これはストロベリーレッドリップて言うんですと言ったらすとろべり…?とわからないようだった。

「俺も好きなんだよ、イチゴ。いちご牛乳すきでさ」

たまたま見かけた彼はコンビニの袋中にいつもいちご牛乳を入れていた。袋が透けてよく見えていた。知ってる、と答えるとそうかーと酔っ払いながら微笑んだ。

恋は駆け引きも重要で、ずっといるのだとつまらない。たまにいるから恋焦がれる、会いたいと思うわけで、それを実践した。

「俺の心読んでる?」

そう聞かれた。読んでるわ、もちろん。色んな雑誌を見て研究して、色んなものを見て吸収して、色んな人に聞いて実践した。
私は微笑みながらこう言った

「ナイショ」






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「READMYLIPS」という曲を聴きながら書きました。とても素敵なPVで女性側が男性を誘うような感じで、それをイメージしました。
策士の女の子とそれにハマる銀さん。




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