ハッピーバレンタイン…?



2月14日といえばバレンタインだ。本日初めて付き合ってからのバレンタインということでもうバレンタインがバレンタインしてバレンタインがバレンタインバレンタイン、

「ヴェエエエエ!」

「名前ー!?え!?何!?なんで突然吐いた!?」

「ご、ごめん銀さん…」

「お、おう…」

あ、明らかに動揺してる坂田銀時ー!しかもちらちら日付を見てテレビでは結野アナが「本日はバレンタイン特集ー!」なんて話をしている。ごめん銀さん…私はあなたにチョコをあげられそうにありません。だって、だって!こんなかっこいい人に普通に「はいこれバレンタインのチョコね。お返し、待ってるんだから」とか何!?ラ○ちゃんでも降臨してんの!?てくらい私の中ではハードルが高い。
無理…無理無理!と考えていると再び胃がムカムカ…としてきた。

まだチョコも作ってないし、でも作りたいし、でもでも…買ってこよう…とバッグを持って万事屋を出た。
その後ろ姿をテレビを見ながら銀時は見ていた。







「…えぇ…?チョコ、う、売り切れ!?」

「はい…申し訳ございません…」

大型デパートに来てもチョコレートのチョの字もないくらい売り場はがらんとしていた。
じゃあ仕方ない、作ると言っても溶かして固めるだけのやつを作ろうと思ったがそれと売り切れ、というか元々大江戸スーパーに無い。
待ってナニコレ。じゃあ…とお団子にしよう!と行くも、売り切れ。何?なんでこんな大ブームになってんの!?

……はぁ…考えても仕方ないから万事屋へ帰って後日という形で銀さんには話そう…。
…それも緊張するな…。
とぼとぼと万事屋へ戻る後ろ姿は歴戦の全部の戦に負けた戦士のようだった。







「って事で…ごめんなさい…」

「いいっていいって、気にすんなよ」

「う…」

銀さんはヘラァ、と笑ったがやはり甘いものとそういう行事ごとに目を輝かせる人だ、内心ショックだろう。

「ってかこうなる事わかってたわ」

「え?」

銀さんは懐からゴソゴソと色とりどりの包み紙に包まれたキャンディーを出し、それを私に渡した。

「キャンディー…」

「…なんか、そのー…今じゃ?女から渡されんじゃなくて本来は男から渡すってさっき結野アナが言っててよ、まぁ…なんつーか…俺からって事で。ほら名前」

「…銀さん…ありがとう!へへ、嬉しいなぁ」

「受け取ったな」

「え、う、うん…」

「ホワイトデー、楽しみにしてるよ」

ニタァと笑うその顔は悪い意味を込めた笑顔で私は口角が引き攣るのを見なくても感じた。
坂田銀時は、侮れない男だ。



(バレンタインでキャンディーを贈る意味は"「あなたのことが好き」という意味。
保存も長期ででき、口のなかで長く味わえることから「あなたと長く一緒にいたい」という意味もある)




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