隣の席の君
『さっき会ったけど…おはよ!光!』
「おはようさん。」
姫華とは同じクラスで、隣の席。
だいたい、前々から皆からの人気もんで、けっこう気にはしててんけど…苗字同じやからまさかとは思ってたけど…
本間に、謙也さんの妹やったなんて、予想外やった…
『光〜?どしたん?』
姫華は俺のこと気にかけて、首を傾げて顔を覗き込んでくる。
「なんでもない。」
本間似てへん
『…光、本間にうちが謙にぃの妹って知らんかった?』
椅子を俺のほうへ向けて話しかけてくる姫華。
「知らんかった。なんとなく、苗字は一緒やったから、そうかなーって思てたんやけど…」
『…まぁ、似てないでしょ?』
そう、先輩と姫華は本間全然似ていない。
先輩は髪脱色してるから茶色に近いが、姫華の髪は赤茶色。
姫華に皆聞いてたときは、地毛や言うてたけど、絶対違うな。
見た感じも雰囲気も全然違うから、誰も兄弟やとは思ってないんやろうな。
『まぁ、似てなくてもいーんだけどね!』
「あの人に似たら大変やと思うけど?」
『…謙にぃ、迷惑かけとりそうやな。』
「よぉ足ひっぱられる」
『え?こけたりしてへん?大丈夫!?』
本気で慌てる姫華
いや、足ひっぱるってリアルな方で考えとんか
「ぼけてんの?」
『?なにが』
ああ、こいつは本間ただの天然か
謙也さんが一緒の家に住んでるってことは羨ましいけど…兄弟ってとこで問題やな。
あの人はあの人で姫華のことめっちゃ大事にしてそうやし…
落とすのは大変そうやな…
「姫華−!!」
『なんやー?』
クラスの女子が姫華を呼ぶ。
それに姫華は即答して聞き返す。
「達也君来てるよ!」
クラスの女子が姫華の周りに来て、早く行ってあげな!とせかす。
『もー、うち光と話してたのにー』
「財前君はあたし等が話しとくから!ほら、行ってき!」
ぐいぐいと姫華を押していく女子。
教室のドアには2年の軽音の達也が居る。
『ゴメンな光!また、あとで話ししよな!』
「おー」
そう言って達也のもとに行く姫華。
達也って言うの尺に触るから市橋でええわ。
市橋は軽音で人気が高いらしい。
しらんけど。
どーでもええけど。
で、そんな市橋はなんでも姫華のことが好きらしい。
でも、姫華はアホ…もとい天然やから絶対気が付いてないんやと思う。
周りの女子は羨ましそうに姫華を見るか、または市橋を応援するかのように、姫華に市橋を進める。
それに気づかん姫華は本間鈍い
まぁ、とにかく市橋には負けたくはない。
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