強敵、現る
「姫華、今日は部活ないん?」
『うん、そろそろメンバー交代だからね!今それの集計中!』
「ああ…前連続でやってたライブの結果集計か?」
『うん、それ!メンバーに選ばれとったらええなぁって!』
「姫華やったら大丈夫やと思うわ。」
『ありがと!あたし今年も、ベース狙ってるからね!ちなみにあたしの予想やと…椋先輩がギターで、愛先輩はヴォーカルで、達也がドラムだと思う!』
「達也…あいつは、後ろで照明でもしとけばおもろいのに…」
『無理無理。達也人気高いもん。』
お前等、俺のことは視界に入ってるよな?
なんで俺がおんのに会話がはずんでんねん!
「謙也さん、目つき怖いですわ。」
『…あ、謙にぃおったん?』
一瞬の沈黙
ちょ、姫華、空気読んでくれ!
まぁそんなとこが可愛いねんけど…な!
ってこんなこと思ってる場合ちゃう!
本間にもー!!
「姫華…今なんて言うた?」
財前が真顔で問う。
『ん?あ、光には言ってないよね!あたしのお兄ちゃん!』
笑顔で答える姫華。
それを見て、やっぱそうなんか…といわん顔する財前。
そして青ざめる俺。
『あ、ちょ、今日急がないとダメだった!ゴメン光!またあとでね!』
ぱたぱたと小走りで走っていった姫華。
ばれてしもーた…
しかもこのタイミング…
まぁ…ええか。
これで財前は手をださんよな…
「謙也さん?」
「ん?なんや?」
諦めてくれるんよな?
ありがとう、財前。
お前を人生で始めて感謝したかもしれん…
「姫華の彼氏が俺になっても文句言わんとってくださいね。」
ニヤリと笑って、財前は去っていった。
…最悪や。
一瞬でもアイツに感謝した俺がアホやった。
妹は最愛の人
せやから、誰にも…渡したくない――
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