敵が増える前兆
 


謙也視点――



2曲目が終了する。


さっき同様大きな拍手と歓声があがる。


 「結構盛り上がってきたなぁ〜!せやけど、次でラスト!」


椋がそう言った瞬間、みんなからえーっと言うブーイングが飛ぶ。


 「楽しんでもらえてなによりですが!ライブまた次してほしい!って人はどーぞアンケートに答えてください!その結果次第で次のライブの回数とかも決まります。はい、姫華。」


椋は喋るだけ喋って姫華にマイクを渡しに前に来る。


 『え?どどどうすればえーん!?』

姫華は渡された瞬間に慌てる。
そんな仕草がめっちゃかわええ…!


 「みんなにメッセージ。」


椋がニッコリ笑って姫華に言う。


 『えっと…!本間、私達のライブ数はみなさんにかかってますので、どうかアンケートよろしくお願いします!ヴォーカルはダメとしても、他のメンバーすっごいいい人達ばかりなので…!』

 「どんだけ自分標準語でしかも自分をへりくだしてんねん。」


椋がやれやれと言った表情で言う。
姫華は可愛いからなんでもありや!


 『しゃーないやん!!』

 「よーしじゃぁ、ラストの曲!またS.IDでone waay!」

 『ちょー!』


姫華が待ってと言おうとした瞬間にドラム、ギターが鳴る。


 『…さっきの仕返しかよ。』


姫華は曲の間奏でそういい、また歌い始める。



明るめの曲でみんながノリノリだ。
手拍子なんかも聴こえてくる。


 「謙也、ヴォーカルかっこええな!」

金太郎がごっつキラキラした目で姫華を見ながら俺に言う。

 「まぁな〜」


正直どう返してええか分からん。


 「どっかの誰かさんとは本間似てませんね」


財前がボソリという。


 「そうたいね」


千歳が財前の言葉を聞いて答える。


 「まぁ、姫華ちゃんはどっからどうみても輝いてるからな。」


白石がニッコリと笑っていう。


 「ぐっ…!お前等酷すぎるわ!!」

 「謙也君、あたしがなぐさめてあげるわ!」


小春が俺の頭を撫でる。
いや、おれは姫華にしてほしい


ってか…



あれ?



普通ならここでユウジの「浮気か!」が入るのに、ユウジが何も言わない。


 「ユウジ…大丈夫か?」

いつものツッコミが入らないから、ビックリしてユウジを見る。
ユウジはステージをじっと見つめている。
俺はその視線の先を見る。
あきらかに視線の先は姫華だった。

 「ユウジ!」

 「うわっ!なんや、謙也かいな!」

 「どないしたん?」

 「え、いや…なんでもない。」

 「ヴォーカルじーっと見てたやろ?」

 「は!?」


一氏は暗い体育館で顔はよく見えないが、あきらかに少し顔が赤くなっているように見える。


おいおいおい…待ってくれや!
ユウジは小春で十分やろ!!


 「ヴォーカルって謙也の妹なん?」

 「まぁ…な…」


なんやその反応…!


おいおいおい、一目惚れとか言わんといてな…!



お前には小春がおるやろ!



とにかく、俺はこれ以上ライバル増やしたらあかん!
俺が死ぬ!




そんなこんな思っていると曲が終わった。



 『みなさん、おーきに!』

姫華が礼をして、舞台を後にした。
他のバンドメンバーは残っている。




この時を堺に俺の苦労は増したと思う







―――――――――――――


S.IDは皆さんが知ってるアーティストを表記かえさせていただきました
そのままの表記は検索が怖いので←
いや、検索避けはしてるんですが…
曲名とかもずらしてますがまんまです!
イメージ掴みやすいかと思って…!
これからも実在するアーティスト使って行きたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします!
[ 27/33 ]

prev next



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -