移動教室の意味

時は過ぎ去り昼休み――


 「はよいこいこ!」


女子はそう言ってどんどん教室からいなくなる。


 「…本間なんやねん。」

 『こっちが聞きたいわ。』


男子は外に遊びに行き、女子はさっさと移動教室をしているので取り残された状況の2人。

 『まぁえーわ。めんどうやから行こーっと。…光行かんの?』

 「あとで行くわ。」


机でぼーっとする財前。


 『寝坊して遅れんようにしぃや!あとサボったらあかんで!』


少しむっとした表情で姫華は財前に言った。

 「はいはい。」

財前は机につっぷす。
姫華は教室をでる。



 「(美術は姫華と席隣ちゃうし、行っても意味無いわ…)」


そう考えた財前は意識をうとうとと手放した。








そのころの白石と謙也――


 「なぁ、白石好きな奴おんのか?」


バサァッ



白石は持っていた教科書類を全部落とした。

 「なんでそう思うんや?」

 「え、いや〜…直感?」


二人して教科書を拾いながら会話する。


 「…おるんか?」

 「一目惚れやし、全然喋ったことないねんけどな…むっちゃ好みやねん!」

白石が少し顔を赤くして言う。

 「そうなんか…応援したるから!頑張れよ!」

謙也がそういうと白石はありがとうなと苦笑いをした。
教科書を拾い終わった2人は音楽室を目指して歩き出す。


 「あ…!」

 「どないしてん」

 「忘れもんしたわ。」

 「アホか。」

やれやれと言った表情で謙也を見る白石。

 「すぐ取りに帰って、すぐ追いつくから、先行っといて!」

 「ええんか?」

 「浪速のスピードスターなめんなっちゅーはなしや!」

謙也はそういうとダッシュで教室までUターンした。




美術室と音楽室は隣あわせである。
だから会えるのはそこ!といわんばかりに女子が美術室から音楽室をガン見している。




もちろん目的はテニス部の方2人。
ちなみに謙也は姫華が隣の教室で美術を受けているなんてまったく知りません。
移動教室は素早く!が彼のモットーなので。







 
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