気になるあの子
「朝練しゅーりょー!!」
今日もまた白石のこの一言で朝練が終わる。
「はぁ〜」
何故かため息がでる。
「謙也君どしたん?」
金色が俺のため息を聞いて尋ねてくる。
「なんもあらへん」
いや、本当はごっつある。
「分かった!姫華ちゃんやろ?」
金色はにやりと笑って姫華の名前を出す。
金色は俺と姫華が兄弟であることを知ってる上、何故か姫華と仲がええ。
「…おん」
昨日姫華に家で何の楽器担当やったか聞いたけど、『謙兄には関係あらへん』って言われたことがごっつショックやったなんて言われへん!
苦笑いで金色をまいて部室に行く。
俺のロッカーの横で白石が着替えてる。
「〜♪〜♪」
…なんや?白石ごっつ機嫌ええな…
「…白石、お前今日機嫌ええな。」
「…バレとる?」
俺が言ったら、白石は俺の方を見て真顔で言った。
「そりゃ鼻歌うとてるぐらいやし…」
俺は白石を見ずに着替え続ける。
「毎週水曜日はなぁ…時間割が最高やねん!そう思わんか?」
白石がきらきらした目で俺に訴えてくる。
いや…同じクラスやから言えること、ぶっちゃけ今日の時間割は嫌いや。
5教科全部あって、唯一の救いが音楽ぐらいや。
「…白石、音楽好きやったか?」
俺が疑問に思って聞いてみるた。
「音楽目当てちゃうで?まぁ、音楽は大事やな!」
意味がわからへん
「じゃぁ、時間割どこがええんや?」
俺的には毎週水曜日がなくてもええぐらいや。
「音楽って移動教室やん?」
「せやな、音楽室行かなあかんし。」
…それが楽しみなんか?
「はよ、5時間目ならへんかな。」
「目的なんやねん。」
「移動教室一緒に行くか?そんときにでも教えたるわ。」
白石はそう言うと、ほなお先にと言うて部室を出て行った。
「…なんやのあいつ。」
「移動教室のときに意中のあの子にあえるらしいばい。」
「ぎゃぁ!!」
俺が小さく呟くと後ろから千歳が耳元で言ってきたから思わずびびった。
「驚かすなや!ってか今なんて言うた!?」
「意中のあの子にあえる。」
「白石好きなやつおんのか!?」
「らしいばいね。一目惚れって本人言ってたばい。」
知らんかった…!
…ってことは、今日の5時間目にその意中の子教えてくれるんか!?
はっはーん!どんな子やろな…ちゅーかむっちゃ気になるな!
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