練習試合が終わり私は部屋でおとなしく足を休めていた。
確かにあの時はバーンの所為で怪我をした。しかし珍しいこともあるんだな、バーンが私の怪我を治療するとは明日は槍でも降ってくるんじゃないだろうか。

ぎゅるる

「お腹減った……」

結構運動はしたからお腹が減った。私は昼食を食べに食堂へ行こうと部屋を出た。
「ガ、ガゼル様!?」
「ん?ヒート、私に何か用か?」
部屋の前にはヒートが居て、私が出て来たことに驚いていた。首を傾げて見ていたらヒートはピシッと姿勢を正して頭を下げた。
「……どうした?」
「先程の怪我の件で、お礼を言いに来たんです」
「絆創膏のこと?それならクララに言っておきなよ」
「いえ、気付いてくれたのはガゼル様ですから」
「……まあ、確かにそうだね」
「はい、ありがとうございました……あの、何処か出掛けるんですか?」
「昼食だよ。君も行く?」
「あ、はい、では」
落ち着きのないヒートと隣で歩いた。私の足を気にしているみたいで視線が凄く来る。
「……君の足は大丈夫なの?」
「はい!ガゼル様のおかげで……」
「そう」
ヒートとこんなに話すのは初めてだ。私が喋ろうとしないだけなのだけど、絆創膏の一件でヒートはどうやら私に心を許したのだろうか、人の気持ちなどよく分からない。

「おっ!ヒート!」

よく分からない……

「と、ガゼル?珍しい組み合わせだな?」

人の気持ちより、自分の気持ちがよく分からない。胸が騒がしい、私はどうしてしまったんだ。思わず服を掴んで顔をしかめた。
「今からガゼル様と昼食なんです」
「へぇー珍しいな!あっ、俺も腹減ったから行く!」
「バーン様も?」
「おう!カレーだカレー!なあガゼル?」
「……うん、冷やし中華」
「かーったく分かってねえな」
バーンが呆れながら私とヒートを置いて先に食堂へ歩いて行った。その後ろ姿を見て、私の胸の騒ぎは治まった。だけど急に切なくなった。なんなんだ、苦しい、困惑する。
「ガゼル様?早く行きま……」
「……ん?どうした?」
「……いえ」
私の顔を覗き込んだヒートはすぐに私から目を逸らした。口を覆い、顔を真っ赤にして目を泳がせる。こいつ、熱でもあるんじゃないだろうか?プロミネンスだから熱いだけかもしれないけど。

(ガゼル様って可愛いかったんだ……)



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