「俺達に迷惑掛けやがって、反省くらいしろよ」
私が無断で外出をした為にグランとバーンは私を連れ戻すよう頼まれたらしい。そして私が逃げないように見張りを付けられた。
少しでもこの不安を取り除きたかったんだ。私だけでなくチームのみんなが追放されてしまう、それが怖くて怖くて仕方がない。
風丸と別れたのだって、バーンが無理矢理だ。私は離れたくなかったのに、あの方の命令だから私はそれに従った。
本当は嫌だった。あの方に会うのも、バーンやグランの顔を見ることも。
私は怖くて此処を抜け出した。着いた場所は綺麗な夕日が眩しい川原だった。私はバーンに微かだが好意を寄せていた。それももう、あの時点で消え失せたが。
『ダイヤモンドダストに次はないってコトだ』

「黙れ……」

『残念だよ、ガゼル』

『ただの人間に勝てないおまえらに、ジェネシスの称号なんざいらねーんだよ』

「黙れ!!」


ガシャンッ!!



「な、何の音だ!?」

見張りをしていたバーンが部屋に入って来た。私はただ荒い呼吸のままで、ベランダのガラスが床に散らばり、私の足に小さな傷を作っていた。
バーンは部屋に入った途端に私の姿を見て唖然としていた。見れば私の左足からはだらだらと血が流れて、でもそんなことは気にもせずにベッドにあるテディベアを手に取り腰を下ろした。
「おまえ、なにやってんだよ……?」
おそるおそる私に近寄り、ガラスを避けながらバーンは私の肩に触れようとした。
「触るな」
バーンの手がぴくりと動き、私の肩に寸で止まった。わりぃ、とバーン小さく言うと私の頭は真っ白になりそうだった。
悪いだと?ふざけるな、私を突き放して見下ろして楽しがって、そんな奴に私は謝られた。バーンの、グランの存在が私を否定しているようで私の頭は更に困惑した。
何故謝ったんだ、バーン。また突き放せばいい、ガラスを割った私を踏み付けて高笑いすればいい。
「出てけ」
「何言ってんだよ、ガラスの処理が先だろ。欠片踏んで切れたらどうすんだ」
「貴様は嫌いだ、大嫌いだ。同じ空間に居るだけで反吐がでる。何故貴様が見張り役なんだ。出てけ、顔も見たくない」
「……人が黙ってりゃ言いたいことさんざん吐きやがって」
「私が憎いなら殴ればいい、そこに落ちているガラスで傷付ければいい」
「黙れ」
「利用価値のない私に貴様は何を求める。早く追放してまえばいいんだ、私など突き放せばいい」
「黙れっつてんだろ!!!」
バーンの声に思わず驚いてしまった。肩がビクリと跳ねて、私はベッドに押し倒された。バーンの顔がすぐ近くにある。私はそれを逸らせない、バーンの瞳には静かな怒りと、困惑と、悲しみが混じって見えた。
「突き放して欲しくないクセに、んなコト言うんじゃねえ!!」
バーンから目が離せなくて、私の頬に雫が落ちた。私の頬も既に濡れて、バーンの頬も濡れていた。
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