「ねえ、ゲームをしようよ!」
何を閃いたのかグランは俺に笑顔で声を掛けて来た。
はあ?と首を傾げればグランはにこにこと笑顔を絶やさなかった。俺は腰に手を当ててグランに向き合う。
「俺ね、面白いこと思い付いたんだ。俺が悪の大魔王で、バーンは炎の騎士なんだ!」
ね、楽しそうでしょう?
俺の顔を笑顔で覗き込む。避けるように視線をずらした。
するとグランはまだ話を進める。
「ガゼルは俺のペットで、お姫様は円堂くん!きっとドレス姿は可愛いよねぇ〜」
「ガゼルがペットって、お前噛み付かれるぞ」
「大丈夫だよ。俺が躾けるから」
「誰を躾けるだって?グラン」
カツカツと地団駄を踏むように廊下を歩いて来たガゼルはグランを軽蔑の眼差しで睨み付ける。
そんな氷の眼差しにひるむことを知らないグランはガゼルがこちらに向かって来るのをにこにこと見ていた。ギロリとガゼルが睨み、グランはほくそ笑む。俺は苦虫を噛み潰したような表情で二人を見ていた。
「きっとガゼルも可愛いと思うよ、猫耳タンクトップ短パンガーターニーソ尻尾付き」
「猫……トン、ガー……ソン?訳が分からん、私に分かるように説明しろ」
「いいよ」
ガゼルの手を取ってグランは一緒に自分達の部屋に消えて行った。取り残された俺は一人で自室に戻ることにした。
「マジついてけねー」
頭を掻きながら部屋の扉を足で閉めてベッドに身体を沈めた。はあ、と自然に溜め息が出る。重い瞼を静かに伏せた。

あいつの声なんて、俺には聞こえなかった。
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