「い、たい」
「止めなよ!晴矢!」
ヒロトに止めに入られて俺は仕方なく手を離した。涙目で俺に握られた手首をさすり、その手首は赤くなっていた。
「ふ……」
「風介、大丈夫か?」
「うん……」
俺の小さな声は掻き消された。風丸が風介の手首をさする。やめろよ、それは俺の役目で、ヒロトの役目で……
「晴矢」
「ああ……悪かった。ごめん」
ヒロトに言われて渋々謝る。風介には睨まれたけど、風丸には苦笑いされた。
「すまない、俺も少ししつこかった」
「俺も、悪かった……」
「良かった。仲直りしたね、風介」
ヒロトが俺を睨み続ける風介の顔を伺う。風介は冗談じゃない、と俺に吐き捨てる。
「風介、晴矢はね」
「嫌いなんだろ、私のことなんか」
説得させようとするヒロトに風介は更に眉を寄せた。
「たまに優しくされた時は驚いたよ。あのバーンが、って思ったけど、やはり私の勘違いだった。……少しでも心を許した私が馬鹿だった」
「確かに俺がバーンの頃はガゼルにいい思いなんてなかった。だけど俺は……気付いたらお前ばかり見てたんだよ!」
すると風介は驚いたように一歩後退る。顔を赤くして俺から目を逸らし、泳がせる。
サッカー部の奴らは俺の告白に歓声をあげていた。そうだ、告白だ。見たか俺の心の叫びを。
「う、嘘だ、……バーンのくせに私で遊ぶな!」
「ああ?こ、これが嘘に見えんのか!?俺はなぁ、カオス結成してからちゃんとお前を守ってるつもりで……!」
未だ分かっていない風介に俺はまた恥ずかしい言葉を並べる。顔が熱を持ちはじめる。
「ううう嘘だ嘘だ嘘だ」
「まだ分かんねえのか!俺は好きだって言ってんだよ!風介が!」
息が荒くなった俺に風介も呼吸が荒くなる。風丸が風介の肩を叩くと後ろに振り返った風介の唇を奪った。

奪った、奪いやがった!

「て、てめえー!!」

「ごめん南雲、言い忘れてたんだ。俺、風介のこと好きになってさ」
「うわあ、凄いね!風介、どうするの?」
「し……知らない!私に聞くな、離せーっ!」

バチンと音がグラウンドに響く。風丸が風介に平手打ちをされ、風介は逃げるようにサッカー部の奴らの後ろに隠れようとする。
風丸は唖然と叩かれた頬を押さえ、俺は風介を目で追い掛けた。

「涼野くんなら僕の後ろだよ。ハムスターみたいでなんだか可愛いね」

「なっ、」

吹雪が後ろに隠れる風介の頭を撫でている。風介も知らぬ間に自然に握っていた吹雪の服を離し頭を隠した。
俺は急いで風介を捕まえて抱き上げた。
「風介は誰にも渡さねーよっ!!」
「お、下ろ、んぐっ!」
うるさい風介の唇を塞いで黙らせた。顔を真っ赤にした風介は俺の胸に顔を埋めた。糞が死ね、と俺に聞こえるように呟く。セカンドキスは残念だが、俺は誰にも負ける気がしない。
すぐに駆け付ける風丸に風介を背中で隠し、好奇心で俺達を覗く吹雪。ヒロトは円堂に抱き付いて円堂は豪炎寺に抱き付いて楽しんでいる。

俺は最後に風介の額にキスを落とした。
久しぶりに見るノーザンインパクトの威力は相変わらず力強かった。


Miracle that was able to meet you
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