転校初日だから教科書なんて物はない。ヒロトは円堂と机をくっ付けて教科書を広げている。凄く楽しそうだけど、その隣に居る豪炎寺は呆れていた。
俺も涼野と机をくっ付けている。だけど涼野はぼーっと外を見てばかりだ。先生は気付いてないけれど、隣に居る俺は暇でしょうがない。
とんとん、涼野の肩を叩いた。

ふに

振り返った涼野の頬に俺の指が触れる。悪戯心に火が付いた俺に涼野は驚いて顔を赤くした。
あれ?顔を赤くするなんて珍しい。逃げるように顔を隠す涼野を俺は横から覗いた。
「どうした?赤くなって」
「……晴矢がたまにするんだ。私に構って欲しくて」
これがあの時、地球を恐怖に押さえ込んだメンバーの一人だとすれば耳を疑う。
今はこんなにも綺麗で眩しい。涼野が初めて俺に微笑んだ。それが嬉しくて俺は更に涼野が好きになった。微笑み返せば目を丸くして、恥ずかしそうに逸らす。
「俺が涼野の友達一号かな?」
「ま、まあ……多分」
「そうだったら嬉しいよ」
肩をぽんぽんと軽く叩いてやると、横から円堂やヒロト達が来た。
「良かった!風介が孤立したらって心配してたんだけど……君が居てくれて助かったよ」
「お前の目には円堂しかいなかったからな」
ヒロトが俺に笑顔を向けると、円堂の隣に立っている豪炎寺が水を差した。涼野は知らんぷりで無表情だった。
「涼野のことは俺に任せてくれ。たった今友達になれた頃なんだ」
「へえ、凄いね。風丸くんって意外と面倒見がいいんだね」
「まあ、円堂と幼なじみだったからかな。見に付いてね」
円堂と幼なじみという単語にヒロトは羨ましそうにしながらも俺に風介をよろしく、と言って来た。これからはガンガン円堂くんにアタック出来るよ!と嬉しそうにするヒロトに笑みが零れた。
「風丸、次は体育だよね」
「ああ、そうだな……え?」
「え?」
後ろから声を掛けて来たのは涼野で、俺の名前を呼んだのも涼野で、全身に鳥肌が立つくらい驚いた。会ってまだ一日目なのに、こんなにも打ち解けれるなんて思ってもみなくて勢いで涼野に抱き付いた。
「お前、初めて俺の名前呼んだな!」
「え、う、うん」
「嬉しいよ。まさか呼ばれるなんて思ってもみなかった」
未だ驚いている涼野から離れるとクラスのみんなが俺達を見ていた。
「風介は元から人懐っこいけど、俺と晴矢以外に懐くなんて驚いたよ。良かったね風丸くん」
「風丸と涼野が仲良くなるなんて驚いたな」
ヒロトの言葉に自分も嬉しくなる。豪炎寺も認めてくれたようで何よりだった。
「良かったな風丸!これからも涼野と仲良くやろーな!」
勿論、と円堂の台詞に深く頷いた。恥ずかしい奴らだ、と呟く涼野は怒りながらも嬉しそうで、俺は涼野の頭を撫でてあげた。
「涼野、」
俺、風介って呼びたいんだ。
そう言ったら顔を赤くして睨まれた。好きにすればいいよ、とそっぽを向かれた。俺はまた嬉しくて頭を撫でてやる。
「そのポジションは俺だったのに、凄いなぁ風丸くん」
驚いてるヒロトに、円堂もうんうんと頷いた。
「俺の昔からの親友だからな!」
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