ころり

白い物が床に落ちて跳ねた。

「はい」
拾ってあげると目を泳がせてあーだのうーだのと言っている。
エイリア学園マスターランクの一つダイヤモンドダストのチームリーダー、ガゼル。本名は涼野風介。
しかしガゼルという名の時間はあまりにも彼には長すぎて、素直さの欠片もない。だけど今俺にお礼を言うべきか迷っている。いや、悩んでいる。
「あ、あり……あ」
きっと普段は言わなかったんだろう。リーダーだったしな。
優雅にお嬢様気分でいたのだと思う。いきなり環境が変われば困惑もするか。
俺は涼野を見て微笑んだ。
「いいよ、ゆっくりで」
「え……」
「俺、風丸一郎太。一応雷門のサッカー部にいるんだ」
「ああ……風丸か、少しの情報なら知っている。確か足が速いのが特徴だと」
「まあ、涼野と比べたら意味もないだろうけどな」
苦笑いで言うと涼野は気まずそうにまた顔を逸らし俯く。
「そんなことは……ない、私は……あの石に頼っていた」
「俺もあるんだ。エイリア石だろう?それでチームのみんなに迷惑を掛けた」
「そうなの?」
「ああ、だから今必死に練習してる。涼野も来るだろ、サッカー部」
「勿論行くが……」
不安そうに眉を下げる。何か心配事でもあるのだろうか、だけどそれはすぐに俺にも分かった。
「南雲か?」
すると涼野の表情が更に歪んだ。やはり図星だったようで、俺は疑問に思ったことを聞いた。
「南雲ってさ、涼野とどういう関係なんだ?」
「関係……昔のライバルだ」
「友達じゃないのか?」
「晴矢が……?分からない、でも私は確かにあの時から晴矢に任せきりだったのかもしれない。ヒロトの言う通りだな」
深く溜め息を付いた涼野を俺は黙って見ていた。どうやらヒロトの世話の意味をようやく理解したらしい。俺にはよく分からないが、手伝ってみようと思った。なんとなくだ。
「俺がさ」
声をあげたら涼野が俺を見る。

どき

分からない、理解出来ない感情に振り回される。

「南雲の変わりに手伝うよ」

笑うことはなかったが、目を細めた涼野に俺は確かな核心をついた。
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