その日転校して来たエイリア学園の生徒、其山ヒロトは席に着くなり駄々を捏ねだした。
円堂くんの隣の席がいい、と。
勿論俺は呆れた。円堂の隣には木野と豪炎寺だ。俺は後ろの席でその隣が其山ヒロト。自分で後ろの方がいいと言っておきながら隣に円堂が居ないことに気が付くとショックを受けていた。
別に距離は変わらないじゃないか。円堂の右が木野で左が豪炎寺、俺はその円堂の後ろの席で隣がヒロト。ただ斜め後ろなだけに何故隣にこだわるのか俺には分からない。
「良かったら私が変わろうか?」
「えっ本当かい?」
木野が苦笑いで席を立つと豪炎寺がそれを止めた。
「そこの席が嫌なら空いてる席に座ればいいだろう」
一番後ろの端だ。豪炎寺が親指でそれを指すとヒロトは落ち込んだように机に突っ伏した。
「そっか……豪炎寺くんは円堂くんが好きなんだね」
ぶつぶつと俺の隣で呟くヒロトは生気がなかった。豪炎寺もチラリと見ては溜め息をつく。
そういえば涼野の席は結構遠い。一番後ろの空いてる席の隣だ。しかも空いてる机を寂しそうに見てる。やはり南雲のことなんだろうか、つい想像してしまう。涼野の隣に南雲が居る場面を。
「席替えしよう」
そう言った俺をクラスのみんなが見る。俺も無意識だった。
「席替えしたら文句も何もないだろう?ヒロト」
「う、うん……」
そうと決ればクジで席決めが始まった。順番に箱の中の紙を引いていく。俺は27番、一番後ろか。
「4番!」
クジを引いて元気に声を出す円堂は一番前か、結構離れたな。
豪炎寺もクジを引き、ヒロトも続いてクジを引いた。
「5番か」
「おっ豪炎寺!また隣だなー!」
「ああ、良かったよ」
豪炎寺に腕を回す円堂。どれだけあの二人は運命で結ばれているのだろうか、少し羨ましい。
ヒロトの表情は複雑だ。俺がそのクジを覗こうとしたら前に涼野が割って来た。
「ヒロト、交換しよう。隣が騒がしいのは嫌なんだ」
「風介?」
涼野が見せ付けたクジには3番と書いてあり、ヒロトはそれを見た瞬間目を輝かせて頷いた。
「ありがとう風介!」
「いいよ別に、周りがうるさいと集中出来ないんだ」
「はい、俺のクジ」
ヒロトのと交換をした涼野のクジは3番から28番に変わっていた。
あれ、もしかして俺の隣か?
「君は何番?」
俺のことを知ってか知らないでか、涼野は振り返って聞いてきた。
「に、27番」
「隣?」
「あ、ああ、よろしく」
「……うん」
不満そうな顔をされて内心かなり傷付いた俺のハートは、これからも持つのだろうか、凄く心配だ。
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