ときめく風丸



雷門にあのエイリア学園だった生徒達が転校して来た。俺達のクラスには其山ヒロトと涼野風介が入って来るらしい。其山ヒロトか、あの円堂にベタベタする奴だとしか分からないが、きっとあっち系の奴なんだろう。涼野風介はクール、そして氷のように冷たいと聞いた。
まあサッカー部に入部するだろうから、仲良くするしかないようだな。
「其山ヒロトです、これからよろしくね円堂くん!」
「円堂限定か……」
女子のように円堂に目を輝かせて抱き付く其山ヒロト。さりげなく豪炎寺が呟く。なんだか先が思いやられる。俺は頬杖を付いて溜め息をついた。
「す、涼野風介……」
目を泳がせて下に俯く、どうやらヒロトに視線で助けを求めているようで、気付いたヒロトも苦笑いで涼野風介の肩を叩いた。
「ねえ円堂くん!風介とも仲良くしてね!」
「おう、もちろん!」
「良かったね風す……」
「おい!どーゆことだよ!!?」
いきなり転校生の紹介シーンを、まさかの乱入者が邪魔しに来た。というよりは何か文句を言いたそうな、すこぶる不機嫌な顔で教室の扉を蹴り開ける。破天荒な奴だ。
「あれ、南雲じゃん!」
円堂は笑顔で迎えたけれど、他のみんなは驚いていた。
ズカズカと教室に入ると南雲は涼野の腕を掴む。そしてヒロトを睨んだ。
「テメー計ったな!」
「なんのことだい?」
「だから、なんでお前と風介なんだ!普通は俺と風介なんじゃねーのかよ?」
「風介は少し晴矢を頼り過ぎなんだ。友達の幅を増やした方がいい、これは風介の為なんだ」
まるで保護者のようなヒロトの発言に南雲は余計に顔をしかめる。涼野は南雲の手を払うとヒロトを見る。
「私は一人でいい、余計な世話を焼かすなヒロト」
「つーかさぁ、一人は可哀想だからってヒロトが俺と一緒になれって言ったのによ。なんで俺の方が一人になってんだ」
「んーだって風介は俺とがいいって」
「あ?それマジか?」
「別に、君となるだけならヒロトとの方がマシだからね」
嘲笑うように涼野が顔を背けると南雲が苛ついたように口角を上げていた。ヒロトも不思議とまんざらのない顔でこの喧嘩を楽しんでいるように見えた。
「テメー!グランのことは嫌いだとか言っておきながら!」
「……今は嫌いじゃないよ」
ダッと床に足を踏み入れた南雲にびくともせずに溜め息を吐いた涼野は腕を組んだ。南雲の表情がだんだん苛ついている。
「……なら俺はどーなんだよ」
「え?」
「んでもねーよ!テメーらなんか知るか!!」
壊れそうな勢いで扉が開かれて不機嫌な南雲の背中を教室のみんなは唖然としながら見送って行った。
「はるや……」
泣きそうな涼野の顔を見て俺は何故か胸が飛び出しそうだった。
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