Do not forget this pain
↑続きっぽい



熱い、熱い、暖かい。
目を開ければ部屋はもう真っ暗で、起き上がろうとしたら身体が重かった。私の上に堂々と乗る腕は人の物だった。
「……誰だ」
真っ暗で何も見えない。手掴みで目の前に人が居ることを確認した。手でぺたぺたと触る。
ぴん、と人の肌に触れた。ココは首だ。私は目の前にある奴の肩を押して退こうとした。早く部屋から出なければバーンに見付かってしまう。しかし回された腕は簡単には剥がせなかった。
(早くしないとバーンが部屋に戻って来る……!)
鉢合わせなんて絶対に御免だ。自然と涙が出てくる。また否定される、なのになかなか剥がれない。ましてや更に力を込められて、私は誰かの胸に顔が埋まった。息苦しい、大方誰かと間違えているんだ。相手の肩に手を付いて剥がれようとした。
「離せ……!誰と間違えているんだ!」
なのに抱き締める力は増すばかり。相手の体温がやけに高くて、逆上せてしまいそうだ。それにこんなに強く抱き締められたことは一度もない。何故だかだんだん心地よくなってきた。
「……ごめん」
上から降って来た言葉に顔をあげた。目が慣れてきてなんとなく見える目の前の顔。
「まさか……バ」
言い終える前に口が塞がれた。思わず身体が強ばり、胸を押し返した。
「んっ、んー!」
すぐに口は離されたが、相変わらず腕は身体に回したままだ。それよりも私は相手を見た。
「やっぱり……バーン」
眉を寄せて私は顔を逸らした。会いたくなかったのにと、また私は卑屈になった。バーンの顔を見るのも嫌だ。私は俯いて彼から見られないようにした。
「おい、顔上げろ」
「嫌だ」
「泣くなよーたくっ」
「な、泣いてなどっ、ない」
バーンの胸を押し返した。言われた通り私は泣いていた。それが悔しくて反抗すれば、私の顔は顎を掴まれて簡単に上げられた。
「何をするっ、ん」
また口を塞がれる。バーンの唇が私の唇に触れる。暖かいのに、怖い。舌が入り口内を犯す。逃げようとするもバーンの舌に捕まる。
苦しい、苦しいんだ。胸がキリキリして痛い、辛い。
「はっ、ふっ、バー……ん」
もう口の中は嫌な水音しかしない。私は身体を縮こませて耳を塞いだ。顎に濡れた何かが垂れる。息が荒い。
バーンは私の手を取って耳に舌を入れた。私が耳を塞いでいた所為なのか、バーンは構わず私を舐める。舌が凄く熱い。
「はぁっ、や、ああァ」
直接耳に響く音が厭らしくて苦し紛れにシーツを握った。濡らされる自分の耳がとろとろに溶けそうだ。
「バーン!いやぁっああっう」
ビクリと一層身体を震わしたら、バーンは私の耳から口を離した。息を整えていたらギシとスプリングが鳴いた。
「バ、バーン……勝手に部屋に入ってすまなかった……だから」
退いてくれ、そう言うとバーンは私の髪を撫でて手に絡める。ドキドキするのはなんでだろうか、薄暗く見えるバーンがかっこいい。
「……ん」
太股を撫で回すように触ると、バーンは私のズボンに手を入れてずり下ろした。私はすぐに反応して脚を閉じた。
「お前、何を」
私を組み敷いたバーンを押し返すと手で腕を固定された。もう一度彼を呼べば脚をこじ開けて身体を入れてくる。恥ずかしくて目を瞑れば別の物が私の身体に渡った。
「あぁっ!」
ちゅぷっと私のモノが音を鳴らして扱かれる。知らない未知の感覚に身体を震わした。
「ばっバーン、あっ、ひぁ」
何か張り詰めた物が私に迫って来る。
「あっああっやあッバーンッ!」
「ガゼル……」
「ひっ……ああーっ!」
頭が真っ白になって、気付けば涙がたくさん流れていた。嫌われたんだ、私はバーンにまた否定された。そう思うとまた胸が痛んだ。

「ガゼル……俺、好きだ」

言葉の意味が分からなかった。抱き締められた身体を抱き返す気力は私にはなかった。ただ暖かかった。
「お前のこと利用なんかしてねえ、俺は……お前が、必要だ」

告げられた言葉に泣いたのは嬉し涙だった。



20100315
分かってるとは思いますけど猫はバーンです←
ガゼルの涙を舐めてすぐに人間に戻りました(`・ω・')