バーンに引きずられて私は嫌々沖縄に来ることになった。ここは暑いから嫌いだ、北海道の方がましだと呟いたら俺がダメだとバーンは唇を尖らせた。
汗がたらたらと肌にまとわりついてむず痒い。私がぼうっとしていたらバーンが背中を叩いた。しっかりしろと言われても私は暑くて頭が回らないんだ。
「あいす……」
「あ?」
「食べたい」
「アイスぅ?」
「んぅー……」
私がその場にしゃがみこむとバーンは困ったように上で溜め息をついた。仕方ないだろう暑いんだ汗がだらだらなんだ、めまいがしてふらつく。
「ほら」
バーンが背中を見せて私の前にしゃがんだ。私が不思議そうに見ていたらバーンは照れ臭そうに早く乗れとぶつくさする。
ああ抱っこしてくれるんだな。バーンだから背中を蹴ったくってやりたいけど、今の私にその気力がない。だらしなくバーンにもたれかかると簡単に持ち上げられた。バーンの背中がどくりと熱を持っていて余計に頭が疲れてしまう。だけど文句を言う気もないので私はそのまま目を瞑った。
「おい、大丈夫なのかよ」
「ん……」
「ガゼル?」
「ん……」
「……ダメだなこりゃ」
バーンが膨大に溜め息をついたのが聞こえた。バーンの呼吸が気持ちいい、私はうとうとと瞼を閉じたり開けたりした。
「おらここで待ってろ」
「あつ……い」
「日陰だから大丈夫だろ。アイス買って来てやるから待ってな」
「……早く、しろ」
「へいへい」
日陰にあるベンチに座らされて、私はぐったりと倒れた。このじめじめとした空間は嫌いだ。だからついて来たくなかったのに、バーンのばかばかばか。
「あれ?おいおいどーした?」
ぼやける視界で見上げれば、バーンの赤ではなく、桃色の髪が私の目に入った。
「……誰、だ」
「俺は綱海だ。あんた大丈夫かー?だいぶ熱にやられてるなぁ」
「う……」
「よし!これ飲め!水分の補給は大切だからな」
「……いらん」
「ダメだって!ほら、熱中症だろ?」
「おまえ……ばーん、みたい」
「え?なに?まあいいから水分水分!」
「仕方……ない」
「ほら、少しは楽になるだろうから」
ペットボトルを渡されて手にひんやりと冷たさが伝わった。
「冷たい……」
頬にくっつけると心地よくて一息ついた。だけど前から来る視線が痛くて目を開ければ先程の男が私をじっと見ていた。何だ、と睨めば男は満開の笑顔で歯を見せた。
「楽になってよかったな!」
頭をくしゃくしゃと撫でられながら私はペットボトルに入っている水を口に流し込んだ。頭が確かに覚醒した気がした。



20100329
初の綱ガゼのつもり。
ぐりーに綱ガゼ同盟があったから書いてみた。ぶっちゃけ綱海とガゼルって関わりあった?まさかあの試合の時かな?
でも綱海はにーにらしい(知らないけど)お兄ちゃんっぽいから?
綱ガゼはほのぼのがいいと思う。兄弟みたいなのが合う。