風呂上がりの風介はなんとも色っぽいというか、ほくほくしておいしそうだった。いつものクールな表情がうっすら桃色だ。
俺は風介をしばらく眺めていたが、冷蔵庫を閉じたり開けたりと何かに苛立っている。
「どーした風介」
「……ない」
何が、と言えばギロリと睨まれた。なんだよ相変わらず危険な奴だな。
「苺ヨーグルト、今すぐ買って来い」
「はあ?何で俺が」
「いいから早く」
買って来るまで帰って来るなと付け足しされて俺は外へ出た。薄着な長袖はさすがに冷えるな。我儘な奴と暮らしてると苦労が耐えないと小言を言った。
近くのコンビニまで来て中に入る。俺は苺ヨーグルトをひたすら探した。ぶどうや桃はあるんだけど、苺はないぞ。
でも苺ヨーグルトを買って来なきゃ家に入れさせてくれない。俺は必死に代えになる物を探した。

「1020円です」

結局のところあいつの嬉し顔を想像して余計な物も買ってしまった。ケーキにアイス、苺じゃなくて桃ヨーグルトと牛乳。後は俺のポテチとコーラだ。
こんなんで許してはくれないだろう。あいつの風呂上がりの日課は苺ヨーグルトだから。
「ただいまー」
家に帰れば玄関で待ち伏せをしていた風介が目の前にいた。これでおかえりなさいって言ってくれたら俺、幸せなんだけど。目を合わせたら逸らされた。やっぱりか。
「か、買って来たのか?」
「はいよお嬢さん」
んな顔歪めなくてもいいじゃねえか。俺が袋を渡すと風介は機嫌がよくなり袋を奪ってリビングに入った。俺も靴を脱いでリビングに向かった。
「こんなに買って来たのか?」
「あー苺ヨーグルトなくてさ、代わりに」
「……そうか、なかったのか」
しょんぼりする風介に俺も申し訳なく思ってしまう。遠い方のコンビニにも行けばよかったかな。
でも風介の機嫌はあまり悪くはなかった。
仕方ないから桃で我慢してやろう、と言ってヨーグルトを食べる風介は可愛いかった。
「その、晴矢を追い出したら一人になって」
「ん?」
ポテチを摘んでいたら風介がおずおずと俺を見る。どうしたんだ今日はやけに積極的だ。
「つ、次からは私も行く」
「へへっそうだな」
俺を追い出したくせに一人になったら寂しくなったらしい。なんとも可愛いことを言ってくれる。俺はにやけが止まらなかった。


20100324
私の風呂上がり日課は苺ヨーグルト^u^/