今度は犬耳
食堂に行けばざわざわとあるテーブルにみんなが群がっていた。私は面倒ごとは御免なので知らぬふりして通り過ぎた。 あ、とメンバーの一人が声をあげるとガゼル様ーっと笑顔を飛ばしてくる。おはようと軽く挨拶をすませると私は朝食を頼んだ。 騒がしいテーブルから距離を置いて朝食に手を伸ばす。すると騒がしいテーブルからガタッと音がした。私は気にせずに箸でご飯をつついていたら横に誰かが立った。 見上げた瞬間に私は押されて椅子からずり落ちた。床に背中をぶつと私の頬にぬるりと変な感触が走った。 「ひ、」 声を押し殺して私の上に馬乗りになる奴を見上げた。パタパタと揺れる赤い尻尾に元気よく立つこいつの耳。顔が引きつった。 「な、なん、貴様」 「なんか朝起きたらこうでさ、ガゼル見たらこう、何ていうか身体が言うことを聞かないって言うか本能のままに動いちまって」 「頭でも打ったの?何故私を見てそうなる。普通レアンやバーラだろう」 「あー知らねえ。なんかお前見た瞬間俺ビンビン」 「きっ!下品なことを言うな!」 「いっいででででで!」 耳を思い切り引っ張ったらバーンは私の手を握って、手のひらをべろりと舐めた。舐めた、舐めた……
「ぎゃあああぁぁあ!!」
「んまい」
私が片方の腕で顔を殴ればバーンはいてえ!と叫び尻尾を萎えさせた。な、なんなんだこいつは。私がメンバーに助けを求めればみんな珍しい物を見るように食い入っていた。 「何を見てる!早くこいつを退かせ!」 メンバーに向けて怒鳴り付けるとようやく正気を取り戻したのかクララが一番に駆け付けて来た。しかしバーンの威嚇、思い切り睨まれてクララは足が止まってしまった。それからバーンは私の額にキスを落とし、頬を舐めて首筋へと移った。私は怒りでわなわなと震え、バーンの髪を引っ張った。 「いてえ!」 「退け!私を餌のように見るな!」 「餌じゃねーよ雌だよ雌」 「っっっ……!!」 頭が痛くなった。バーンは私を舐めることはやめないし、ご機嫌のように尻尾を左右に振るバーンを周りの奴らは止めれなかった。 とりあえずバーンは私を舐める、舐める。嫌なのに身体が震えるし、腕に力が入らない。
「おはようみんな、仲がいいみたいでなによりだよ」
「グラン貴様かあぁああぁ!!」
私の叫びは食堂に響き渡った。
20100322 よく分からないけどグランの所為にしたガゼル。 犬バーンに襲われるガゼルきゅん可愛いと思う。
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