プロミネンスとの練習試合が終わり、アイシーがタオルとドリンクを持って来てくれた。礼を言って受け止ったドリンクを呑んだら凄く不味くて吹き出してしまった。口に広がる苦汁のような味に顔をしかめて口を覆った。目の前にいた私のメンバーもおろおろしている。その奥で休憩をしているプロミネンスも驚いたように私を見ていたが、腹を抱えて笑っている奴を見て理解した。メンバーも犯人を見つけて訝しげに睨んでいた。 口に広がった苦い味に我慢出来なくてアイキューの手にあるドリンクを奪って飲み干した。うう、まだ口が苦い。 私はプロミネンスのリーダーを睨むとドリンクをアイキューに返して自室に戻ろうとその場を去った。 「おいガゼル」 もうすぐ着くというところで呼び止められる。振り返りもせずにまっすぐ歩いていたら後ろから蹴られた。前のめりに倒れた身体を起こそうとしたら背中を踏まれる。一体何事だ。 「私に恨みでもあるのか」 「さあ」 「貴様のクセに私を踏み付けるとはいい度胸だ、今すぐ消えろ」 バーンの足が離れて私はすぐに起き上がる。前に出たら足を掛けられて倒れそうになった。 もう頭に来た。私はバーンに振り返ると死ねと罵った。髪をギシギシと引っ張る。 するとバーンは口角を上げて私の肩を掴み壁に叩きつけた。痛みに顔を歪めていたら唇を噛み付くように塞がれた。私はバーンの胸を押し返すけど及ばない。 舌を絡めとられて押し返す指が震えた。 「き、さま……!」 くぐもった声を出すとバーンはにやと笑う。私は眉間にしわを寄せて更に苛ついた。 「っは」 「消毒だぜ、消毒」 不味かっただろ、と不適に笑みをこぼす。その顔に私はビンタを食らわした。 「イッテェ!」 「何が消毒だ。あんな不味い物を飲ませて何がしたい」 「俺の勝手だろ」 「その勝手に私を巻き込むな!」 ダッと足を踏み付ければまた叫びをあげる。その場面をグランに見られたのか笑い声が横からした。 「仲がいいね、君達」 「フン、こっちはいい迷惑だよ」 「でも否定はしないね、ガゼル」 うっと言葉をつまらせた。こっちは否定したつもりだったんだけど、グランにはそう聞こえたみたいだ。私は髪に手を伸ばして引っ張る。それを見たグランは苦笑いをした。 「ねえガゼル、好きな子程苛めたいって馬鹿な子がいるでしょ」 「お、おいグラン!!」 「バーンは君に構って欲しいんだよ」 まさか、とバーンを見たら顔を赤くして私を見たりグランを見たりでおろおろしていた。それに私は眉を寄せて溜め息をついた。
20100322 好きな子は苛めたい それがバーンだ!
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