「みなさーん!真帝国学園の佐久間さんをスパリン出来ましたよー!」
「な、なんだと……?」
マネージャーからその学校の名前を聞いた鬼道クンは明らかに嫌そうな顔をしていた。そりゃあそうだ、なんたって俺がキャプテンを勤めたあの真帝国だ。しかもあの病みに病んだ佐久間がスパリンされたとなると耳を疑いたくもなるだろうが、事実だ。俺は内心含み笑いをしたまま更に追い討ちを掛けた。
「新しいメンバーが来るってのに、嬉しくなさそーだけど?鬼道クン」
「……そんなことはない、ただ」
「ああ?」
「仲間としてやっていけるかが不安なんだ」
へえ、あっそう。適当に言葉を並べて俺はとりあえず鬼道クンの肩を軽く叩いた。その瞬間に背後からドォンという爆発音が響き、ロケットのような音を混じりながらペンギンが俺と鬼道クン目がけて飛んできた。逃げようと後ろに下がれば鬼道クンに当たった。
「これは皇帝ペンギン1号……まさか!」
「そんなこと言ってる暇があるならさっさと逃げろッ!」
マントを引っ張り上げて一緒に地面にしゃがみこんだ。ボールは真上を通り俺たちをかすめて落ちた。へこみきった地面を横目に隣に居る鬼道クンに怪我がないことを確認して俺はボールが飛んできた方向を見上げた。やっぱり勝つことにしか目がない佐久間がいた。
「避けたか……久しぶりだな、鬼道、それに不動」
「テメェ、新メンバーのクセして調子乗ってんじゃねぇの?」
「俺をスパリンしたのはここの副キャプテンだろう。文句ならそいつに言え」
副キャプテンって誰だ。俺が周りの奴らの表情を見回していたら怪しい奴が約一名。笑いをこらえて人影に隠れるあの女。
「あんたか、マキュアちゃん」
「だって佐久間欲しかったんだもん」
「知るかよ、とにかく副キャプテンなんて勝手に作んないでくんない?」
「えー!マキュア副キャプテンになりたいーっ!」
マキュアと言い合っていたら佐久間が鬼道クンに近付いていたことに今更気付いた。はっとしたのも束の間、佐久間は嬉しそうに、だが憎しみも瞳の奥に宿らせて笑った。
「鬼道、俺はおまえを越える。そして最強の力を手に入れ最大の勝利をこの手に掴んでみせる」
「さ、佐久間……」
「そしてこの歪んだ心情でおまえのすべてを手に入れてみせる」

ある意味プロポーズ。


--20100706
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