俺がフォワードを任されたのは嬉しかった。何よりあの懐かしい仲間とまたサッカーが出来ることが嬉しい。そんなこと二人に言ったら怒るだろうけど、俺はバーンとガゼルが、晴矢と風介が大好きなんだ。それに今俺のマークをしているのはガゼルだなんて、嬉しいことこの上ない。
「ガゼル、もしかして痩せた?ちゃんとご飯食べてるかい?」
「私はもうガゼルじゃない、風介だ。そ、それより、あまりくっつくな」
「わかったよ、風介。相変わらずキミの脇はおいしそうだね」
「へ、変態……ッ」
後ろから抱き締めればやっぱり細かった。ガゼルの頃ならツンツンオーラ全開だったからいつもノーザンインパクトだったけど、確かに晴矢の言う通り風介になってからガゼルは変わった。ツンツンがツンデレに微妙に進化しただけなんだけど。抱き心地が最高だから頬をすりすりしていたら俺の顔面にボールが飛んできた。しかも風介にすれすれで当たらないようにするなんて明らかに俺を狙っていた。
「俺のモンに手ェ出すんじゃねえよ!!」
「違うよ、風介は俺のだ。キミのモノじゃない」
「テメェこの俺に喧嘩売ってんのか……!」
転がっていったボールなんて眼中になくて風介を抱き締めながら晴矢との口論が続いた。俺の腕の中に居る風介は呆れて脱力していた。するとゴール前から鈍い音がした。
「ならく落とし!」
「キャッ」
チェのドリブル技で顔面にボールがヒットしたのはアイシーだった。かわいそうに、女の子は顔が大事なのにな。
「愛!大丈夫か?」
「うん、平気……」
アイキューに支えられアイシーはよろよろと立ち上がった。そして数分後、またアイシーに悲劇が起きた。顔面にならく落としだ。
「愛ィィイ!!」
ディフェンダーのアイキューが猛ダッシュで妹のところまで走って行った。さすがはシスコン、レッドカードな勢いでアイシーを抱き締めた。でも焦っているのだろう、もう韓国はあとがないから。
「勝つのは我々ファイアードラゴンです!」
「テメェ!風介を離せ!」
「いーやーだー」
「南雲くん、涼野くんいい加減にしなよ。僕たち負けるよ」
明らかに気が立っているアフロディは二人を睨み聞かせた。晴矢は文句を言いながら攻めに行ったけど風介はまだ俺が抱き締めて離してない。
「ヒロトくん、涼野くんを返してくれないか?」
「えぇー」
「返してくれないかな」
すると風介の手首を掴んでアフロディは思い切り風介を引っ張る。俺も負けじと風介にしがみついた。
「いっ痛い痛い痛い照美やめろやめて痛いっ」
「……帰ったらお仕置きだよ、涼野くん」
「そんなっ……」
あまりにも涙目な風介がかわいかったから手をゆるめてしまった。ズルッと風介が俺の腕から抜けてアフロディの腕に抱き締められる。ごめん、と風介はアフロディを見上げるもアフロディはふてくされてそのまま返事もせずに風介の手を掴みながら走って行った。いいなあ、俺も守としたい。


--20100711
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -