俺を押し返す手のひらを上から自分の手に絡めた。暖かい、この人の雰囲気とは全く別の暖かさ。でも瞳の奥は冷たくて、潤んでいた。上目遣いで俺を誘い込むように見つめてきた。
「緑川、も……」
「いいよ……」
濡れた後孔に指先を通して張り詰めた自身をあてがった。鼻の掛かるような吐息をもらした涼野を俺はゆっくり貫いた。慣れている蕾が俺をぎゅうぎゅうに締め付けてきゅんと歓声をあげた。
「はぁ、は、ぅん……」
「俺なんかに犯されて嬉しいのか……マスターランクのくせに……」
「ふふ……もうそれは関係ないよ、セカンドランク」
「っ、うるさい!」
黙らせようと奥を突けば仰け反って涼野は喘いだ。遊ばれてる、確実に。セカンドランクだからってなめてるんだ。身体では俺が上に立っているのに実際ではこの人には勝てない。快感に細められた目が鬱陶しかった。太股を掴んで律動を早めても、いくら涼野が俺の腕で抱かれていようと俺の心の奥は劣等感で満ち溢れていた。
「あッ、あああっひあ」
「ちくしょう!俺は、俺は……!」
「セカンド、らんくっ……」
「だ……黙れえ!!」
「ふゃっやあぁああンッ!!」
露骨に腰を打ち付けたら涼野の中が狭くなった。果てた涼野はどこまでも幽艶だった。俺ももう既に涼野の中に欲を吐き出していた。完全に萎えているのに、身体は正直に涼野のいやらしい身体で元気になっていく。完全に俺は捕まった、涼野の魅惑に。息が荒い涼野が俺を見上げてはまた自ら脚を開いた。
「キミの気が済むまでしてもいいよ……」
「俺で遊んで、何が楽しいんだ……!」
「楽しくないの?私を犯してるのに」
指先に絡まる精液を赤い舌でぺろぺろと舐めながら俺を見る。誘ってるのなんて見てわかる。だけどやっぱり俺は、逃げられない。涼野の蕾が早く欲しいとひくつかせて俺を離さない。楽しくなんかないのに、俺は心の何処かでこれを望んでいたのか、また身体はゆっくりと動きだした。



交わる手、結ばない恋






--20100710

涼野に勝っているようで勝ってない緑川。
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