無理だった。見つめるだけで充分だった俺は次の慾を欲した。いくら想ってもあなたは俺を見てもくれないから俺の慾は更に高まった。押し倒しせばあなたはふと柔らかく笑った。
「君は私に触れちゃいけない」
自信満々に言って、自分が押し倒されているのに関わらず怖じけずかなかった。この人はわかってるんだ。俺があいつを、晴矢を裏切れないことに。でもその挑発的な誘いの笑みは俺の理性を崩すのに容易かった。
「俺が、晴矢の親友だから手を出さないと思ったんですか?」
「出せないだろう?……臆病者の君には、晴矢の恋人の私には」
「乗りましょうか……その挑発に」
「君には無理だよ」
俺の言葉に全く動じないところが悔しかった。歯を噛み締めて俺は拳を立てた。顔の真横を叩けばビクリと身体が跳ね、俺を怪し気に見つめた。
「私に触ったら晴矢が黙ってないぞ……」
「なら、あなたが黙っていればいい」
逃げそうになったとこで腕を押しつけた。さっきまでの余裕の表情が焦りに変わり、俺は逆転して気分がよかった。
「どういう、意味だ……」
涼野が俺を睨み付ける。だから返事の代わりに微笑んだ。服の中に手を入れたら俺を押し返してきたから手首を掴んで押し戻す。痛、とこぼれた涼野の声を聞きながら俺は腹部を撫でた。
「やめ、ろ……!」
「俺の手でイッたら恥ずかしいですよね」
「や、っ!」
ズボンに手を掛けたら脚が飛んできた。本気で抵抗してくるからすごくやりにくい。だから俺は馬乗りになって両手を掴んで身動きを封じた。つつ、と舌で胸を舐めたら暴れ出した。
「私に手を出したら晴矢が怒るんだぞ!」
「それはあなたが思ってるだけですよ」
ちゅ、と突起に吸い付けば目を瞑って俺の愛撫に耐えていた。舌先で胸の周りを舐め回して突起をつつけば赤く膨らんでいた。いいですね、その悔しそうな顔。俺は手を忍ばして携帯を手にした。携帯で写真を取れば涼野は目を見開いた。
「な、何をした……!?」
「撮りました。これで黙っててくれますよね」
「いやだ!」
「晴矢も含めて送りますよ。ヒロトやあなたの懐かしいチームに。それでもいいんですね?」
そうしたら涼野は口をつぐんで小さく首を振った。なかなか折れない涼野に俺は笑った。落とすのは難しそうだ。



見つめるだけ、想うだけ

(それは無理な話だった)






20100625

厚石は我慢強いよねたぶん
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -