ショックだった、晴矢が私を選ばなかったことに。晴矢が選んだのは私ではなく、もう一人の過去の私、ガゼルの方だった。取り残された気分になった、もうここから居なくなりたかった。なのに私は変に意地を張って、幸せになれよと笑って言った。馬鹿だ、私は本当に馬鹿過ぎる。頭をガシガシ掻いて気持ちを落ち着かせたけど落ち着かない、涙がたくさんこぼれた。
「風介、ごめんな」
「っ気に、するな……」
「マジごめん……」
抱き締められそうになったけど晴矢は歯を噛み締めて手を止めた。それは恋人の為か私の為か、晴矢の腕は私を抱き締めることはなかった。
「俺は、バーンだ。晴矢は、おまえの好きな晴矢は……」
「はるや、は……?」
「……ごめん、未来に俺は居ない」
「え……?」
「ずっとおまえを騙してた。俺の名前はバーン、それは風介だって知ってるだろ。俺は研崎の作った発明品でここに来た。俺は過去の人間、おまえは俺からして見れば未来の人間なんだよ。騙してて悪い、だけど俺はここに来た時わかったよ、俺は死んでたんだ。おまえの反応を見てすぐにわかった。俺はジェネシス計画最後の日、爆発に巻き込まれたって風介、おまえが教えてくれただろ」
確かにジェネシス計画が失敗した時に起きた爆発で晴矢は私を庇って巻き込まれてしまった。晴矢は居なくなってしまった、だから私は孤独で仕方がなかった。生きてるのが辛くなったある日、晴矢が懐かしい格好で私の前に現れた。バーンの頃の、エイリアのユニフォームだ。嬉しくて飛び付いたことは今でも覚えてる。
「俺は帰らなきゃいけない、この世界は未来のほんの一部でしかないんだ。俺は生きる、おまえの為に、ガゼルの為にも」
「帰らなくていい……私を一人にしないで……」
「そしたら俺と同じ世界に居るガゼルが一人になるんだ……風介、約束する。俺は過去に帰って生きのびる、だから……」
薄くなっていく晴矢を見て私は驚いた。晴矢は本当に私の世界の人間じゃなかったんだ。消えないように手を握った。暖かいのに、晴矢の手は結晶のようにキラキラと散っていく。
「まっ、待って、はるや……!」
「未来の俺は消えない、約束する。待っててくれ、風介」
最後に満面の笑顔で晴矢は私の前から消えていった。晴矢の物は何一つ残らなかった。孤独だ、また私に孤独がやって来た。ぽたぽたと地面に私の涙が染みていった。

「ふっ……ぅ、う」



「なんだよ、せっかく約束して帰って来たのに相変わらず風介は泣き虫だな」

振り返れば、過去にはなかった晴矢の大人びた姿があった。ただいま、と晴矢は微笑んだ。



その瞳に抱きしめられたい


(ガゼル!俺さ、未来行って来たんだけどよ!)
(……未来?何言って……)
(俺、死んでた!)
(え!?)
(だから未来のおまえを悲しませない為に俺は生きる!)
(……頭大丈夫?)






20100620

タイムトリップネタ
しかし過去から未来っておかしいよね…うん、書いてる時に気付いたよ。なんかめちゃくちゃしてわけわからん。すみません。
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