円堂守が好きなヒロトは、つい最近自分の想いを伝えたらしい。答えはもちろんノーでもイエスでもない曖昧な返事。そう、わからない、だ。ヒロトは焦っていた、いつか奪われてしまうと私に言ってきた。頭のいい君ならわかるよね、俺はどうすればいいの?はっきり言って私は聞く耳を持たなかった。相談なら晴矢にしてくれ、と言ったら胸ぐらを掴まれて殴られた。意味がわからない、八つ当たりだ。
「い、た……」
加減なく殴られた私の頬はじんじんと腫れていた。冗談じゃない、私は喧嘩なんて慣れていないしこういうのはすべて晴矢に任せっきりだ。口の中が切れて不味い。
「ねえ、なんで?俺がこんなに必死になってるのになんで風介は聞いてくれないの!」
「……私には、関係ない」
「風介まで俺を見てくれない!!」
「っぁ!」
また胸ぐらを掴まれて床に押し倒された。ヒロトの瞳は不安と恐怖と焦りと、たくさんの感情が入り混じっていた。見てくれないのは君の方じゃないか、円堂守に夢中で私なんか視界に入ってもいない。
「俺を見てくれないなら……まもる。俺は、君を」



愛がないなら殺してくれ



視界が霞む。頭がぼうっとしてきた。もうすぐ晴矢が帰って来る時間だ。ヒロト、退け。
「あ、ひろ、ぁあ……」
私の脚を掴んで腰を揺らすヒロトを睨んだ。顔を歪めてはたかれる。痛い、身体が痛い、胸が痛い。女の喘ぎしか出ないこの口が腹立たしい。
「俺を、僕を、見て……まもる」
「んっ……!」
律動を速めるヒロトの腕を掴んだ。変な感じがする、私とヒロトは今繋がっている。ぐちゅ、と音を立てて快感が走るけど、痛みの方が大きい。
「たぅ、っ、痛いよ、ヒロト」
「まもる……!」
「ひっ……わ、私を、見て……まもるじゃない、私を……」
伸ばした手はヒロトの頬をかすめて床に落ちた。私の中に注がれる熱に脚がひくりと痙攣した。結局、ヒロトは私を見てくれなかった。悲しくて涙が目からこぼれた。
「……ごめん、風介」
「私の、気持ち、知ってるくせにっ……」
「君も……晴矢の気持ちを知ってるだろ」
結局はみんな、ただの自己満足。私は涙を流しながら髪を掻いた。玄関の扉が開いて晴矢が帰って来た。私は逃げるように自分の部屋へと走った。愛がない行為なんていらない。






20100520

円堂←ヒロト←涼野←南雲

なんちゅう一方通行なw
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