酷いよね、涼野くんったら僕が待ち合わせに遅刻したくらいで一喝して僕のおしゃれでもあるアツヤの形見のマフラーを引っ張って首を絞めたんだ。危うく殺されるところだった。涼野くんはプンスカして不機嫌で、待たされたことに相当腹を立てているらしい。だから何度も謝ったのに。
「す、涼野くん、まだ食べる?」
「アイス追加。もちろん貴様の奢りだ」
「う、うん、もちろんいいよ……」
涼野くんは僕の財布を空にする気らしい。でも口の周りをアイスでベタベタにしてかわいいなあ。ギロリと睨まれたから僕は苦笑いでごまかしながらココアを飲んだ。
「あれ、吹雪くん?」
さっき涼野くんと会う前に知り合った女の子二人組が僕を見ていた。やあ、と笑顔を見せれば二人とも顔を赤くする。涼野くんもこんな反応をしてくれれば僕、毎日幸せなんだけどな。
「気分が悪くなった、帰る」
ガタッと椅子を下げて涼野くんは立ち上がった。え、と声をあげたのは涼野くんがレストランを出た時だった。
「吹雪くん、今の子お友達?」
「うん、ちょっとね」
会計を急いで済ませて女の子と別れた。涼野くんのおかげでもう財布はすっからかんだ。涼野くんを追いかけてレストランを出ても、涼野くんらしき人はいなかった。ああ、完璧に怒ってしまったのだろうか。きっと走って帰ったんだろう。
「……どうしよう」
とぼとぼと歩いていたら涼野くんの後ろ姿が目に入った。あ、と顔を上げると涼野くんは大人の人に絡まれていて、でもびくともしていなかった。むしろ僕の方が見ててびくびくしていた。涼野くん、何をしでかしたんだろう。大人が涼野くんの肩を掴んだ瞬間に地面から氷柱が発生して大人は凍り付けになってしまった。あわわ、なんてことを。他の大人も驚いて逃げてしまった。僕が涼野くんに駆け寄ると、冷静な顔をして睨まれた。
「遅い、私が注目の的になっただろう」
「そ、そんなことより!早く逃げよう!」
「そんなことだと!?貴様はさっきから私を怒らせたいのか!?」
「ご、ごごごめんなさい!」
僕が顔の前で両手を付いたら涼野くんは呆れたように大きくため息を吐いた。よく見れば瞳をふるふると震わせて、ポーカーフェイスを必死に保っていた。
「す、涼野くん?」
「こわ、かったんだぞ……」
「うん、ご、ごめんね。もう離れないから、ね?」
「……おまえを待っていたら女子といちゃいちゃして、レストランでもまた愛想笑いをして……!」
「ほんとごめんなさい!」
「またやったら許さないぞ……う、うぅ」
鼻をすする涼野くんの背中をさすり、僕は頷きながら頭を撫でてあげた。ぽろぽろと流れる涙を舌で舐めとってあげた。ふる、と震えた涼野くんは子猫のようにかわいかった。



ツンデレ悲劇





20100515

何かがおかしい^p^
へたれ吹雪はあはあw
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