俺はあなたを見てる。でもあなたは俺じゃない誰かを見てる。誰なのかなんて、見当は付いていた。
「バーン、今日の練習試合、我々ダイヤモンドダストが勝たせてもらう」
「ヘッ、言っとけよ。痛い目みても知らねぇからな」
お互いを敵視し競い合い、最良のライバルとでも言える二人の世界に、チームメイトである俺が入っていける隙間はなかった。敵であるダイヤモンドダストのガゼル様は氷のように気高き人だ。美しい、よりも上品さがあり、他の誰よりも露出した腕が目立つ。目に止めてしまえば見惚れてしまう氷の冷たさ。そんなガゼル様に好意を持った俺は、きっと馬鹿なんだろう。あの人は、高嶺の花だ。届くことはない。
「ヒート、行ったぞ!ぼーっとすんな!」
前線で振り返ったバーンの顔を見た瞬間、青くて白い小さな彼が俺の横をすりぬけた。速い、目で追うしかできなかった。ガゼル様の駿足でまんまと抜かれ、素早いシュートで決められていた。髪が靡く、余裕の笑みを見せるガゼル様はやはり、俺の胸を射止めた。
「ヒート、やる気あるのか?バーン様が焦ってるじゃないか」
「ああ、あるさ。俺を前線にしてくれ」
「な、ヒート」
ネッパーに注意をされるなんて思ってはいなかったけどそこまで酷かったかな。バーンに頼んで前線にしてもらった。試合という形だけでもいい、ガゼル様と向き合えるなら、ガゼル様の目に俺が入るなら。ほんと、必死になって馬鹿みたいだ。ボールをもらって走る。前線に居るガゼル様がすぐに俺のボールを奪いに来た。
「もらった!」
「ヒート、こっちだ!」
左サイドに居るバーンが俺を呼んだ。わかってる、だけど今はおまえを頼りたくはないんだ。ガゼル様に見て欲しい、俺の実力を。フェイントを掛けて後ろ足でボールを上げた。ガゼル様はすぐに反応したけど追い付けなかった。ドリブルであがったがアイキューにふさがれて振り出しに戻った。
「なかなかだったけど、やはりアイキューのディフェンスには適わなかったね」
「あ、いえ……」
「でも、バーンに回せば点は奪えたかもしれない」
ああほら、やっぱり。あなたはバーンを見つめて、目を細めて、楽しそうに口元を緩める。視線の先なんて、知りたくなくても知るものだ。



視線の意味を知りたくて





20100516

ヒート片想いおいし^p^
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