家のピンポンが鳴り、荷物を持って玄関へ向かった。扉を開ければ赤い髪のあいつで、私はいつも通り家の鍵を掛けて外へ出た。
「よォ」
「おはよ」
朝はこうして晴矢が迎えに来る。家からの距離もあまり変わらないし、結構近いといえば近い。晴矢の後ろを歩いて、駐輪場まで行き晴矢の自転車で学校へ向かう。
鞄を渡して前のカゴに入れると、私は二台に横向きで座った。
「つかまっとけよ」
「ん」
服の裾をつかむと晴矢は痺れを切らしたのか私の手を握って腰に回らせた。少しむっとして晴矢を見上げれば、怪我するからと言ってペダルを踏んだ。
漕ぎ始めたので仕方なく私は晴矢にしがみついて身を任せた。風が気持ちよくて目を瞑ったら、前で晴矢が笑った気がした。



学校に着いて自転車を駐輪場に置くと、カゴから晴矢が私の鞄を持って差し出してくれた。素直に受け取って二人で下駄箱まで歩いた。
「晴矢」
「ん?」
「今日、変な夢を見たんだ」
眉を下げて言えば、晴矢は少し驚いたように頷いた。
見た夢は豪炎寺と喧嘩をしたことだ。しかも私には何の理由も無いが、豪炎寺が一方的に怒っていた。そんなよく分からない夢を言えば、晴矢はなんだそれと呆れていた。
「気にすんなよ、どうせ夢だしよ」
「ああ」
だが朝方からあんな夢を見たら豪炎寺と顔が合わせにくくなる。きっと気まずくなるだろうなと私は心中溜め息をついた。
教室に晴矢と二人で入れば、円堂と笑い合うヒロトや、豪炎寺に風丸も来ていた。それに昨日休んでいた吹雪も居て、笑顔で挨拶をしてきた。
「おはよう南雲くん、涼野くん」
「おー」
「おはよ」
晴矢に笑い掛ける吹雪に少し焦りながら、不意に握られた手は暖かかった。握ったのは吹雪で、私が不思議そうに見つめると驚いたように口を開けた。
「涼野くん、手、冷たいね」
「そう?」
「うん。僕が暖めてあげるね」
優しく目を細めた吹雪の手は確かにぬくもりがあった。



20100409
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