ドンドンドン、仕舞には扉を蹴り上げた。俺の視界にはガゼルが居るであろう部屋にバーンが無理矢理入ろうとしている。自分がしたことなのにみっともない。でもそれでいじけるガゼルもガゼルだ。けど俺が守宛てに書いた手紙を真っ二つにされたら正気でいられるか不安だ。うん、まず泣き出すかな。ガゼルもバーンに手紙を破られた瞬間ぶわっと泣き出してバーンの鳩尾にノーザンインパクトを食らわした。
「おい、悪かったって!だから開けろよ!」
「死ね!屑が!顔も見たくない!!」
ガゼルが涙声で叫んでいることが扉越しでもわかる。相当ショックだっただろうに。でも今はバーンの方もショックを隠せないだろうな。歯をギシギシさせてガゼルの部屋の扉を思い切り熱のこもった脚で蹴り飛ばした。あまりの破壊力に扉が音を立てて壊れた。さっきのガゼルの発言がバーンの怒りに触れたんだろう。俺は黙って見ていた。
「ふざけるな!私の部屋に入ってくるな!」
「うるせえ!ムカつくんだよおまえ!」
土足のままずかずかとガゼルの部屋に入ったバーンはベッドの上で泣いているガゼルと取っ組み合いのような喧嘩をしていた。俺も部屋に入って止めようとしたらバチンと威勢のいいビンタの音が聞こえた。バーンの頬にガゼルの手形がくっきり映っていた。呆気に取られていたのは俺だけじゃなくてバーンもだけど、次の瞬間バーンはガゼルのノーザンインパクトで壁に飛ばされた。ガゼルって脚力だけはあると思う。
「ムカつくならもう私に関わるな!」
悲しそうに眉を垂れてガゼルは涙をこぼしながらサッカーボールを抱き締めた。俺とバーンとの距離を取ると、ガゼルの腕にあるサッカーボールが光りだす。
「ガゼル、何処に行く気なんだい」
「私はもうバーンの顔など見たくない!」
「ガゼル、まさか君は……」
俺が手を伸ばしたと同時にガゼルは光に包まれて消えた。俺の仮定だが、確実にガゼルは雷門に向かった筈だ。あの冷静なガゼルがあそこまで感情を高ぶらせて泣き出すとは思わなかったけど、原因はバーンだ。
「おいグラン!何処に行くんだ」
「ガゼルを探しに行く」
「俺も……」
「君が居たらガゼルは戻らない、そこで待ってるんだ」
「……テメェ」
ギロリと俺を睨み付けてバーンは壁を殴った。俺はため息をついてしょうがない、と呟いた。バーンの怒りは納まらないままだ。早くガゼルを連れ出そう。



20100619

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