ガゼルがおかしくなった。それはもう、俺の所為としか言い様がない。単に出来心、ガゼルにも地球上にある物の素晴らしさや人間とのふれあいで出来る暖かさに気付いて欲しかった。確かに地球に行ってガゼルは変わったが、気付いた気配なんて皆無だしむしろ変な意味で変わった。
「グラン、こ、これを」
渡された一枚の紙切れを手に取り目を通した。ああ、ガゼル、君はなんてかわいいんだ。だけど俺の心は複雑だった。紙切れにはガゼルの不器用ながらも想いを伝えようとする綺麗でぎこちなく固まる文。君を見てから心が熱い、君の名前を知りたい、私は涼野風介、君とサッカーをしたい。つらつらつら。もういっそのこと文にある君、をバーンに書き直してやりたい。
「どう?へ、変じゃないだろ……?」
「うん、素敵な手紙さ」
ただ、俺にこの手紙を届ける勇気などない。バーンの恋を応援してるのに、まさかガゼルの恋まで応援しなくてはならないなんて思ってもみなかった。どうすればいいんだろう。
「じゃあ、さっそくこれを届けたい……」
「ガゼル、あ、あのね?確かに恋をするのは大切なことだよ。でも相手が雷門じゃみんな納得しないと思うんだ」
「君も円堂守がすきだろう」
ああ、そうだ、図星だよ。俺は何も言えなくなって口を閉じた。そうだ、俺が今してるのはガゼルの恋路を邪魔する壁じゃないか。俺だって守がすきだ。邪魔なんてして欲しくない。
「……わかった。なら明日、届けに行こう」
その代わりバーンには内緒でだ。だいたい、殴られた頭が今でも痛い。とばっちりだ、昨日はバーンに完璧に聞かれて八つ当たりされた。またばれると厄介だから、と俺はラブレターをガゼルに返した。が、そのラブレターはガゼルの指先をかすめて強引に奪われた。
「何してんだ」
「バーン?」
怪しげに俺とガゼルを交互に見てラブレターを覗いた。俺はまたバーンが怒りだすんじゃないかと焦っていたし、ガゼルはラブレターを見られてもじもじしていた。ああほら、バーンの舌打ち。

「気持ちワリィ!」

目の前でラブレターを二つに引き裂いた。

ガゼルがバーンをひっぱたいて逃走するのはそう遅くはないだろう。



20100513

なんてことを\p/

バーンやきもちw
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