今日もまたいつもの会議、だけど頭の中はあの男の顔ばかり。片目しか見えないあの焦げ茶色の瞳と一つに束ねられた長い髪の毛。もう一度、一回でいいから会いたい。見るだけでいい、この気持ちを確かめたい。グランに言ってみようかな。
「現在、ジェミニストームが、」
「グラン、ちょっと」
「なんだい?」
聞いていない会話に割って入るとグランが顔を上げた。バーンも横目で私を見た。
「話があるんだ。後で聞いてくれないか」
「ああ、いいよ」
「……今話せばいいじゃねえか」
機嫌の悪そうなバーンの声に、振り向いたらつんと逸らされた。それに気にすることもなく適当にあしらう。君が居るから話せない、そう言えばバーンは組んでいる脚をといて立ち上がった。
「ああ!?喧嘩売ってんのか!」
「じゃあグラン、また後で」
「わかった」
バーンを無視して下に降りれば、上からはバーンの剣幕が激しかった。それに鼻で笑い私は部屋を出た。

「クソッ!ガゼルの野郎……」
拳を握り締めて椅子を荒々しく蹴るとバーンは偉そうにドカリと座った。俺もガゼルの話を聞いてこようと席を立った。
「で、話ってなんだよ」
「さあ?なんだろうね、告白かな?」
「てめえ、わかってんだろうな」
「ああ、わかってるさ。ガゼルに手を出すな、だろ?」
「わかりゃいいんだよ」
相変わらずバーンはガゼルに告白も出来ないし、それなのにちゃっかりガゼルを見張ってる。俺もバーンを応援してるけど、ガゼルにその気はないみたいだし、むしろなんだか昨日のことでガゼルはぼうっとしてる。なに考えてるのかな。
「そうだ、バーンも一緒に聞きに行こうよ」
「あ?」
「気になるんでしょ?じゃあ俺行くから、後で来なよ」
ガゼルには悪いけど、バーンはガゼルを想ってるからこそ気になるんだ。俺も少しは手助けしてあげなきゃね。下に降りてガゼルを追えば、部屋を出てすぐにガゼルは壁にもたれて待っていた。驚いた、バーンとの会話を聞かれたかもしれない。だけどガゼルは遅いと言うだけでそれ以外は何も言わなかった。聞いていなかったのか、逆に少し残念だ。
「じゃあ、私の部屋に……」
「あ、ここでいいよ」
「ここで?……まあ、そこまで大事なことじゃないからね」
「うん、それで話って?」
「実はもう一度雷門イレブンを見たくてね」
「……え、」

どうしよう、バーン聞いちゃったかもしれない。

「誰なんだろう……すごくかっこよかったんだ」

目を細めて何かに見惚れるガゼルは、確かに恋する乙女だった。



20100503

ガゼル乙女(笑)
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