自転車で晴矢の後ろに乗っていたらポケットの中にある携帯が鳴った。晴矢にしがみ付きながらポケットに手を入れて画面を見たら着信は登録したばかりの緑川からだった。
「何?」
『あっ涼野さん、無事ー?』
「どういう意味?」
『無事ならいいんだ。それで、明日なんだけどー』
意味ありげな言い方に疑問を持つも緑川がしゃべり続けるから黙って聞いた。明日は予定もないから緑川が誘う遊園地には行けるだろう。
「おい風介、誰と話してたんだよ」
「緑川、委員会で知り合ったんだ」
緑川の誘いに乗り電話を切れば晴矢が自転車を漕ぎながら振り返った。怪しむように私を見るから、ただの後輩だと言い張った。
それから数分後、また携帯が音を鳴らした。めんどくさそうにのそのそとポケットにしまってある携帯をまた取り出した。また緑川か、と思っていたが画面には風丸の文字があった。ボタンを押して電話に出る。
「もしもし」
『涼野、今から家に来れるか?』
「今から?」
いきなりな風丸の言葉に私は目を丸くした。自分の家に向かってはいるが、風丸の家はそう遠くはない。
『実は聞きたいことがあってな』
「別に構わないけど、電話じゃダメなのか?」
『直接じゃなきゃ意味がないんだよ、頼む』
風丸の珍しい声にわかった、と一言返した。悩みの相談事なのかはわからないが風丸のトーンが低かった。最後に一人で来てくれと言われた。自分でも理解出来ないこのいやな感覚に鳥肌が立った。やっぱり行くのやめようかな、とも考えたけれど廊下で別れたあとの風丸の調子も気になるし、前で自転車を漕ぐ晴矢に伝えた。
返事はノーだ、ふざけてるのかこいつは。すると晴矢は漕ぐのをやめて地面に足を付きバランスを取った。二台が揺れて落ちそうになったから前に居る晴矢の服を掴んだ。
「何故だ?」
「俺がいやだから」
「君は子供か、風丸は本当に悩んでいるんだぞ」
それでも晴矢は自転車を進めなかった。痺れを切らした私は二台から降りて歩きだした。後ろで何かが倒れる音がしたと同時に腕を引かれる。振り返れば焦りを見せる晴矢と無造作に倒れる自転車。カラカラと音を鳴らしていた。
「俺も行く」
真剣に見つめるから驚いてしまった。付き添ってくれるのは嬉しいけど風丸には一人で来て欲しいと言われたから、どうしよう。返事もまだなのに晴矢は早く済ませるぞと私を自転車へと戻らせた。不思議と晴矢の背中が大きく見えた。



20100506
つまらない。
すみません…
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