「綱海、これでいいのか?」
少し大きめの服を着た風介が試着室から出てきた。丁度俺のお気に入りの数字が入ってるパーカーだ。親指を上げて似合ってる、と言えば風介は照れたように笑った。ズボンも風介に合った半ズボンだ。会計を済ましてそのまま店を出た。
「買わせてすまない」
「いーってことよ。思い出すまで付き合うぜ」
「優しいな、綱海は」
「チビの扱いなら慣れてるからな!」
「私が……チビ」
「困ってる奴は放っておけねーんだ」
風介の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でてやれば、余計に髪の毛がつんつんした。とりあえず思い出すまで一緒に居てやろう。でも風介は沖縄出身じゃないだろう。見かけたことは一度もないから。
「綱海、私は赤が嫌いだ」
「いきなりだなー、何か思い出したのか?」
それに首を横に振る。俺が困ったように頭を掻けば、風介は俺の服をつまんで見上げた。
「思い出すまで一緒に居てくれるか?」
「おう!もちろん」
笑顔で言えば、風介は目を見開いてつまんでいる指を離した。不思議に思い首を傾げれば、風介は思い詰めたような顔付きで睫毛を伏せた。
「前にも、そんなことを……言われた気がする」

「ガゼル」

後ろからやって来た赤毛の少年がいきなり風介の腕を掴んだ。俺と風介が顔を見合せて一緒に瞬きをした。
「おまえ帰れっつっただろ、なんで居んだよ。服まで着て」
真剣な顔付きで風介に眉を吊り上げる。でも風介は訳のわからない顔をして手を振り払った。慌てて俺の服を掴んで後ろに隠れる。
「なんだ、風介の知り合いか?」
「知らない……いきなりなんなんだ」
本当に知らないみたいだ。しかもすごく不愉快な顔をして赤毛の少年を睨み付ける。はあ?と赤毛が声を上げた。
「てめーふざけんな……まさかまだ怒ってんのか?」
「寄るな」
赤毛が風介に近寄ると風介は逃げる。俺の周りをぐるぐると回り追い掛けっこをしだした。
「も、もしかして風介の知り合いだったんじゃねーか?」
風介を目で追いながら言うも赤毛から逃げるのに必死で、だけど手が捕まり風介の動きは止まった。泣きそうに顔を歪めるから俺はぎょっとした。赤毛も慌てて手を離した。
「な、何も知らない……」
俺に抱き付いた風介は服に顔を埋めた。その瞳は確かに不安に揺れていた。背中に手を回して抱き締めてやれば、風介は抱き付く力を込めた。



20100502

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