好きだよ、なんて言われてどう反応していいかわからなかった。ただ照れ臭くて顔が熱くて、私は恥ずかしくてたまらなかった。助かったのは丁度チャイムが鳴ったことだ。
教室に入れば照美と目が合い、何故か微笑まれたから慌てて視線をずらした。ぶったことを根に持っているのだろう、当たり前だな。
「涼野くん!」
いきなり飛び付かれたと思えば相手はあの照美で、私が離れようとしたら更に抱き締めてきた。訳がわからなくて困惑していたら照美が私をキラキラと目を輝かせて見ていた。一体こいつに何があったんだ。
「僕気付いたんだ!そう、涼野くんのおかげだよ」
「……は?」
「あんなに強くぶたれたのは初めてだよ……」
まさにうっとりとしたように頬を緩めて照美は私に引っ付く。まさかあの平手打ちに感動したというのか、理解に苦しむ。こいつはかなりの変態だ。
「は、離せ!」
「いやだよ、それに今から一緒の委員会じゃないか!仲良くしようよ涼野くん!」
最初の頃とは全く違う照美の対応に私は更に困惑した。照美は私を掴むなり体育委員が集まる教室に私を引っ張った。

「また……痴漢されてるね」

目の前に現れたのは朝方バスの中で会った子だった。呆れているのか、やれやれと軽く手を上げていた。しかし一年生が何故二年生の教室の前に居るんだ。
「ちなみに俺は体育委員だからよろしくー」
人懐っこい笑顔で俺と照美を見ると緑の髪をひらひらさせて彼は教室へと入っていった。とりあえず私と照美もあとから教室に入り、空いている席に着いた。
「涼野くん、僕の膝の上に座らなくていいのかい?」
「いい」
「ねえ、もう一度僕に愛の鞭を……」
「黙れ屑」
「愛情の裏返し、僕は好きだよ!」
こいつ、ヒロトとタイプが似てる。扱い易くて扱いにくい。私がため息をつくと既に話し合いが進んでいて、委員長を決めるだとかなんとかで、私には無関係のことだからぼうっとしていた。なのに隣の席に座っている照美が手を上げる。
「はーい!僕、委員長は涼野くんがいいです!」
「な、」
誰も挙手しないのをいいことに照美は私を推薦した。私が慌てて照美を見ると、照美は笑顔で僕が副委員長ね、とウインクした。
「じゃあ俺、副委員長やろっかなぁ〜?」
前の席に居るあの人懐っこい笑顔を持つ彼が軽く挙手をした。私が驚くより先に照美がええっ!と声をあげた。
「それは許可出来ないね。副委員長は神であるこの僕……」
「ならじゃんけんで決めればいーじゃん?」
余裕の表情をした彼は頭上で腕を組む。じゃんけんの結果は照美の一発負け。得意ごとだったのか、彼は鼻歌を歌いながら私に振り返った。

「言うの忘れてたね。俺は緑川リュウジ、よろしく」

また人懐っこく彼、緑川が怪しく笑った。



20100427
照美むちゃくちゃになった…。
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