今日も快晴、そしてサーフィン日和だ。俺はサーフボードに乗っていつものように気持ちよく叫んでいた。波にのっている最中だった、ゴーグル越しに見えたぽつりとした人物が目に入った。岸に倒れるように横になっているからつい気になった。
波にのりながらバランスをとって浜辺に戻り、遠くにある岸まで走っていった。俺は何故か緊張してた。
「おい!大丈夫かー!?」
横になっている人物に駆け寄るとぴくりともせずにずぶ濡れ状態で気を失っていた。顔が真っ青で海水をかなり飲んでいる。俺はあまり使わない頭で曖昧な人工呼吸をし始めた。
仮死状態の冷たい唇に触れて息を吹き込み、マッサージを繰り返した。その時ぴくりと動いた手に俺は気付きもせずにまた唇をふさいだ。目の前には綺麗な海の色をした瞳があり、ばちりと目が合った。
「ごほッ、ゲホッ!」
口から飲んでしまった海水を吐き出してようやく意識が戻った。俺はほっとして後ろに倒れ、よかったと力なくつぶやいた。未だ耳にはむせる音が聞こえて、安心してる場合ではないと慌てて起き上がって背中をさすってやった。
「大丈夫か?おまえどうして溺れてたんだ?」
「ごほっ……はあ、はぁ」
潤んだ瞳で俺に振り返り、いきなり俺の胸に飛び付いてきた。え、と固まっていたらぐすぐすと頬を濡らして泣き出す。とりあえず頭を撫でて背中をさっきみたいにさすってあげた。
だいぶ落ち着いてきた時だった。俺を見上げて、首を傾げる。名前は?と聞けば目をぱちぱちさせて眉を寄せた。
「名前?私は……ふーすけ……風介?」
「風介な……あんた溺れてたんだぜー?」
「溺れた?私が?……君は誰だ?」
「俺は綱海」
「そうか綱海、ところで」


ここは何処だ?



完璧に記憶が飛んでる気がする。



「それと、わ、私にキスをしたな」

「いや、あれは人工呼吸で……」

「う、嘘をつくな!」



はじめまして凍てつく闇。



20100425
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -