「涼野くん、一緒に体操しよ?」
目を細めてたれ目をした吹雪が私に笑い掛けた。頷いてストレッチをする為に座ると吹雪が後ろに回った。押すね、と小さく言うと体重をかけられる。
「……う」
「あれ、固くなった?」
「かも、ね」
「じゃあ、もっと押してあげるね」
「えっあ、ぁあ、いた、ん」
「え?痛い?ご、ごめんね」
「あぁ……」
「お、おい吹雪!おまえェ!」
晴矢がずかずかと私達に近付いてくると吹雪に体当たりした。吹雪が私の背中に乗っていたから私までそのまま倒れた。重い、吹雪が上に倒れているから私は動けないでいた。
「あ゛ー!てめ、吹雪!」
晴矢が情けない声を出して頭を抱えた。私と吹雪がのそのそと起き上がり晴矢を見上げる。私は服を整えてもちろん睨み付けた。
「酷いよ南雲くん……い、いきなり体当たりなんて、僕、何かした?」
「貴様、私と吹雪に謝れ」
すると晴矢は知らぬ顔して逃げて行った。俺悪くねえし、と適当に捨て言葉を残して、なんとも失礼な奴だ。

「風丸!」

ゴッと鈍い音がして吹雪と振り返れば風丸がぐらりと揺れていた。サッカーボールがぽてりと床に落ちて、風丸はなんとか足に力を入れて踏張った。
頭に手を当ててふらふらしていて、私と吹雪、周りのみんなが風丸に集まった。
「大丈夫か?風丸」
「でも、どうして頭なんかに……」
「風丸は不動のロングパスに気付かなかったんだ。でも、そこまで強くなかったとは思う」
円堂がサッカーボールを握りながら風丸を見た。でも風丸はただ黙ったままでぼうっとしている。
「おいおい冗談だろォ?あのくらいのパス取れねぇとか恥ずかしくねぇのかよ」
不動が別のボールを踏み付けながら呆れていた。風丸を見る目が明らかに馬鹿にしている。でも風丸は何も言わなくて、呼ばれても反応はない。不動が軽く舌打ちをした。
「何?俺が悪いワケ?」
「そうじゃないよ、不動。風丸は俺達でなんとかするから安心しろ、な!」
肩をぽんぽんと円堂に叩かれて、不動は言いにくそうにああ、と目線をずらした。不動なりに心配はしていたが表に出せないのだろう。私もたまにあるからわかる。
「えっーと、じゃあとりあえず風丸を保健室に運ぶからみんなは練習しててくれ!」
風丸の腕を掴むと円堂はよろけながらも歩き出した。豪炎寺が途中声を掛けたが円堂はちゃっかり断っていた。みんなに練習を続けていて欲しいのか、豪炎寺もそれを理解して頷いていた。



20100423

体育館です。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -