誰だ、ヒロトと私を一緒に帰らせたのは。ああ、豪炎寺か、選択を誤ったな。バスで帰れるから楽かと思っていたら人の数が半端ない。しかも同じ学校の生徒や違う学校の制服を着た子もいる。はあ、と人込みの中ため息をついた。こうなるんだったら風丸と帰ればよかった。
「風介、大丈夫?」
「大丈夫じゃないよ。バスで帰るんじゃなかった」
「俺はいつもこうだから慣れてるんだよね」
隣で苦笑いをするヒロトを鼻で笑い、私は人込みで酔いそうになるのを我慢した。ヒロトにもたれて目を瞑っていたら、お尻を撫でられてびっくりした。私は慌てヒロトを見た。
「ヒ、ヒロト!おい貴様……」
「何?どうしたの?」
「……え、いや」
きょとんと目を丸くして私を見るから、ヒロトではないのか、私はチラチラと後ろを見たが人込みばかりで、後ろの人は背中を向けているし、一体誰だろう。
でもこの窮屈な中だからたまたま触ってしまったというのもあり得る。だから私は気にせずにいた。
「ね、風介?」
「な、何」
「あのさ、豪炎寺くんが言ってたじゃん?」

さわさわ、さわさわ

未だお尻に感じる不愉快さに眉をひそめながら私はヒロトの話をちゃんと聞いた。
「襲われたって、本当?」
「……まあ」
「やっぱり晴矢?」
それに頷くとヒロトはふうん、と興味なさ気に言う。へえ、晴矢かぁ、と今度は笑いながら呟く。なんだかさっきから私のお尻を撫でる手が更にエスカレートしている気がする。
ガタン、バスが急にブレーキを踏んだから私は人込みに埋まった。ぎゅうぎゅうと息苦しいのに、更に私を押し潰そうとする。後ろからいきなり抱き締められて、驚いて振り返ったらヒロトが人込みに埋められていた。
「大丈夫か?」
「う、ん、慣れてるとはいえ、さすがにこれは」
あはは、と笑うヒロトに私はため息をついてヒロトにもたれた。重いよ風介、と言われても私だって周りから押されてるんだ。我慢しろと言えばヒロトはおとなしくなった。
「風介」
「何?」
「俺もさ」
「……うん?」
「風介のこと襲いたい」
は?と私が聞き返す前にヒロトは私に抱き付いて回している手を胸の位置まで上げてきた。
「ヒロ、ん」
「静かに」
服の上からヒロトは胸の突起をつまんできた。変な感覚に私が身動ぐとヒロトは後ろから耳を甘噛みしてきた。
「ひゃっ、ヒロト」
「ね、いいでしょう?」
それから私は降りるまでバスの中でヒロトに追い詰められた。これはもう、嫌がらせの他にない。バスに降りた瞬間、私はヒロトを蹴り飛ばした。



20100418
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