先生は委員会のメンバーをクジで決めると言った。なるべく晴矢とヒロトと同じになりたかったが私の運が悪いのか、忙しそうな体育委員に決まってしまった。しかも一緒に活動する奴があいつだと?冗談じゃない。
「涼野くん」
「な、何」
「一緒に頑張ろうね。大丈夫、この僕が付いてるから」
「全然大丈夫じゃないよ」
男のくせに無駄に長い髪の毛をさらっとなびかせて目を細める。指で私の顎を持ち上げたと思ったら照美は呟く。
「僕は美しいものが好きだよ。そう、例えば君のような美学に優秀な子がね」
「触るな、気持ち悪い」
ぱしっと照美の手をはたいたら照美は気にもせずに長い髪の毛を揺らして目を細めた。とりあえずよろしくね、と言って照美は去って行った。自分を神だとか素晴らしいとか美学とか、関わりたくないと思っていたのに。
私がため息をつくと、それに気付いたのか前の方で離れた席に座る照美が見下ろすように口元だけを緩ませた。これからの委員会が苦痛になりそうだ。




授業の鐘が鳴り、ゆっくりしていた私は移動教室のことをすっかり忘れていた。風丸と豪炎寺は焦って行ったみたいだが、すでに授業開始の鐘が鳴っているから今更走っても無駄だ。
私ものそのそと教科書を準備していたら、同じ授業を受ける吹雪が待っていてくれていた。
「一緒に行こう、涼野くん」
教室で授業のあるヒロト達に軽く手を振って私と吹雪は廊下に出た。長い階段を上がりながらもう遅刻であろうと吹雪と会話をしながら歩いていたが、急に吹雪が足を止めた。気になって吹雪を見れば、思い詰めたような顔をしていて思わず目を丸くした。
「どうした……?」
「涼野くん、あの、僕のこと避けてたりしてる……?」
上目遣いで不安そうに私を見て、まさに図星を突かれた私は返事に困った。目線を泳がせた私に、吹雪は余計酷い顔をする。
「ぼ、僕が前、キス、しちゃった……から?」
「それ、は」
しどろもどろになれば、吹雪は眉を垂らして、そうだよね、いやだったよねごめんね。とぶつぶつ呟く。大体今は授業中で私達は遅刻してるから早く行かなきゃいけないし、ここは廊下だし、チラリと吹雪を見ればやはりへこんでいた。ああもう、私の所為なのか?
「ごめんね涼野くん……僕、ぼく……」
「も、もう気にしてないから」
早く行こう、と翻して歩こうとしたら途中で手首を握られた。ぎちぎちと強い力で、私は驚いて吹雪に振り返った。本日二度目の押し倒しを食らった。



20100417
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