携帯を半田に向けて、こっちに振り返った瞬間にパシャリと撮る。丁度いいアングルだ、俺は保存ボタンを押してちゃっかりボックスにしまいこんだ。半田が俺を見て驚いてるから、待ち受けに欲しかったんだと言えば少し照れた。
「あ、半田も俺撮る?なんてー」
「いや、いーわ」
あっさり断られたのでショックを受けた。へこんでいたら半田がぼそり、もう一之瀬撮ってるし、て呟くから俺は嬉しくて半田の携帯に手を伸ばした。
「どんなの?見せて」
「やめっ……!!」
半田が今まで以上に焦りを見せて、慌てて、俺はびっくりして伸ばした手が止まった。半田はごまかすように笑いながら白目向いてるからって言うけど、だけど。

なんでこんな小さなことが、心に引っ掛かるのか……


今日も待ち合わせは俺が先、今日も半田は遅い。待つのはいつも俺で、ついため息が出た。ふと気付けば前にはあの本屋があって、俺は半田の真似をして待ってようかなと本屋に向かって走った。
たまたま本屋の前で待っていた子に視線を向けたら、凄い自分にそっくりで嫌な感じがした。性別は違うけど、ここまで顔がそっくりだと気味が悪い。

あれ?

『いーよ』

変だな、なんで今頃

『あんたなら、付き合ってもいいよ』

あの日の言葉を思い出すんだろう。


ピロリロリロ

携帯を慌てて開いた。画面には半田真一、俺はボタンを押して耳に当てた。
「……も、もしもし?うん、今本屋のトコ」
電話越しで半田はからかうようになんでそんなトコにいんだよ、と笑っていた。すぐに半田が俺を見付けて走って来た。遅いよ、と言えば先生に呼ばれてたと困った風に笑う。だけどその半田の笑顔は、一瞬にして消えて、半田の手から携帯が地面に落ちた。
「な、なぁ、早くどっか入ろう」
「え、待って携帯落としたよ」
「!!」
開きっぱなしだった携帯を渡そうとしたけど、俺の手がそこで止まる。画面には俺、じゃなくて凄いそっくりな俺と同じ顔した可愛い女の子。
「はは……自分かと思っ……」
「いや、それは」
「……なんだ」

“あんたなら”付き合ってもいいよ

なんだ 最初からずっと


半田は俺のことなんて見てなかったんだ。



20100414
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