土門にその後はどうなのかと聞かれ、俺は言いにくくて手にあるパンを食べた。普通に言うなら、なんだか思ってたイメージとは違う人だった、ということだ。
「落ち着いた人かと思ってたら笑い上戸だし、結構意地悪」
「クールでかっこよくて大人じゃないじゃん」
笑いだした土門にむ、と口にパンを含みながら睨むと、また笑われる。でも、嬉しいんだ、彼といることが。意外と口悪くて、ドジだし、知っていく度にどんどん好きになる。半田はどうなんだろう、俺のこと好きになってくれたかな。
「ごめん一之瀬、待った?」
「ううん、大丈夫」
学校帰りはこうして半田と待ち合わせをして帰る。商店街の柱にもたれて、いつもルンルン気分で半田を待っている。
半田に連れて来てもらった場所は、銀杏がひらひらと舞い散る綺麗な公園で、俺が珍しそうに見ていたら半田は気に入ると思ってね、と微笑んだ。
「たまにはこーゆーロマンチックっぽいのもいいかなって」
「いい!」
公園のベンチに座って、二人で缶ジュースを飲んで景色を眺めていた。
「なー、一之瀬って何処で俺のこと知ったの?」
「本屋だよ。いつも誰かと待ち合わせしてたでしょ」
すると半田は驚いたのか飲んでいたコーラを吹き出した。俺が苦笑いで半田の背中をさすり、ハンカチを渡した。
「……相手の人は見たことないけど、彼女だった?」
「……うん」
ああやっぱり、俺、どうして聞いたんだろう。胸の奥がツキンと痛くなって、思わず眉を下げて俯いた。そしたら半田はほくそ笑んで俺の頭を撫でてくれた。
「でもとっくに別れてるし、気にするとこじゃないよ」
「うん、今は俺だもんね」
「そうそう」
俺は大袈裟に半田の背中を叩いて、笑いながら何回も叩いて気を紛らわした。そしたら半田がいきなり避けるから俺はベンチから落ちそうになった。半田が慌てて後ろから抱き締めて、それはもう、嬉しくて。
「半田、あのね」
「ん?」
「凄い好きだよ」
上目遣いで見上げれば、半田も照れたように俺の頬に手を置いて優しくキスをしてくれた。

それは紛れもなく幸せの絶頂だった。

なのに、なんで、

いつも待つのは俺なんだろう。



20100414
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