バス停前の本屋さんで、いつも誰かを待つ人に恋をした。
俺はバスにへばりついてこっちへ向けと念じるけど、やっぱり向かない。誰を待ってるのかな、彼女かな、気になって仕方ない。
「それなのに、突然姿を消すなんて!」
「んーそれはあれだ。縁がなかったんだな」
「サクッとなんてことを!」
せっかく俺が相談したってのに、土門は全然、むしろ俺の傷をえぐるように鋭い言葉を出す。
そいつの顔以外のコト知ってるのか?彼女は?引っ越しかも?もう会えないって!
ポテトをつまんで土門はさらりとのける。ハートが傷だらけで、俺は頭を抱えた。

「あ、そうだ」

土門を引っ張って違う学校の校舎に来れば、土門は帰ると言って聞かない。俺、関係ないし、って酷くないか土門、俺達親友だろ。
「つーか、俺は顔も知らないのにどう探すんだよ」
「だから、彼はかっこよくてクールで大人で優しくてー笑うと可愛いタイプなんだ」
「ヤベェ馬鹿だ馬鹿がいる」
周りの生徒が俺達をちらちらと見ては不思議そうに首を傾げている。この中に彼は居ない、何処にいるんだろう。
「ねーねー君ら誰待ってんのー?」
変な帽子をかぶった子が俺に声を掛けてきた。その帽子の隣には、俺の探していた人物がいた。俺が思わず叫んだら、彼は驚いて後退った。

学校から離れて一目の無い所へ移動して、俺は彼に気持ちを伝えた。
「俺、一之瀬一哉っていいます!それで、あの、君のコト好きで、それで」
「いーよ」
「え!?」
「俺、あんたなら付き合ってもいいよ」
思いもよらない彼の返事に、俺はもうドキドキして心臓が破裂する勢いだった。ああ俺、凄い幸せだ。



「半田、よくオーケーしたね。ずっと前の引きずって避けてたじゃん」
「だってさマックス、あんな顔であんな風に言われたらさ」
可愛いし、また幸せな気分に浸れた気がしたんだ。そう言ったらマックスは呆れていた。彼は特にダメだと思ってたよ、なんて言われる。俺が忘れる筈がないのに。



20100414
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -