布団の中で寝返りを打った。なんだろう、この感じ、学校に行きたくない。頭も痛いし喉は昨日よりは腫れてなかったけど、風丸のおかげなのかはわからない。私の風邪が移ってなければいいんだが、これは完璧に熱を出したな。
時間はもう8時を過ぎた。学校に行く準備をしなくちゃいけないのに身体が動かない。だるい。親はもう仕事に行ってるから心配はないけど、一緒に通学する晴矢には連絡をしなきゃいけない。

『ちょっと熱っぽいから学校休む』

メールを送って携帯を閉じて、目を瞑ろうとしたら着信音が鳴った。メールは晴矢からだった。

『わかった!ちょっと待ってろよ』

意味がわからなくはないが、私は晴矢に学校は一人で行ってくれと遠回しに伝えた筈だ。いや、こいつは馬鹿だった。しばらくしたら家のピンポンが鳴る。私はベッドの中だ、出るものか。
なのにしつこいくらい鳴らすものだから私は玄関までよたよたと歩き、扉を開いた。
「晴矢、私は学校を休むって伝えたよ」
「おう!だから俺も休むぜ」
「馬鹿言ってないでほら、君は成績酷いんだから」
「アイス買ってきてやったぜ?あとお粥の材料とかよ、好きな菓子」
「……す、少しだけね」
晴矢の手土産についつい許してしまったが、私は熱があるからふらふらだ。晴矢を家に入れてすぐにベッドへ帰ろうとすれば後ろから持ち上げられた。
「はる、や?」
「無理すんなって、看てやるから」
「……ああ」
それから晴矢は私を優しくベッドに寝かすと、台所へ去って行った。晴矢、優しいなぁ。そう思ったのは一瞬で、台所からものすごい音がした。私が慌てて駆け付ければ、火傷したとかで、馬鹿馬鹿しい。
「君、人様の台所を汚くしないでよ」
「あっち、ち……」
「……大丈夫なの?」
「無理だわ、風介舐めて」
「おやすみ」
舌打ちをした晴矢を無視して私はまた布団に潜り込んだ。台所はようやく静かになり、私も眠りにつけた。だけどなんだか身体が重くてすぐに目が覚めた。
晴矢が人の上に乗って寝ていた。テーブルには冷めてしまったお粥があった。私はお粥に手を伸ばして、晴矢を起こさないようにゆっくり噛んで、飲み込んだ。
「ありがとう、晴矢」
ぽつりと呟いたら、晴矢は肩を震わして笑いに耐えていた。狸寝入りをした晴矢の腹を蹴り上げた。



20100414
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