今日は二年生になって初行事、俺はでかいリュックサックをしょって学校へ向かった。もちろん行事はキャンプ、そして山登り付きだ。新しいクラスではまた秋と同じになり、そして豪炎寺とも同じになった。
「ねー豪炎寺くん、キャンプの花火に一緒にやろうよ」
「いい」
「あっじゃああたしと!」
「ウザイ」
相変わらず豪炎寺は両手に花だったけど、本人は苦い顔をしていた。見ていたら、不意に視線が交わった。思い出してしまう、靴擦れをしておんぶをしてもらったことや、理科室から逃げ出す時に抱き締められた記憶を。
でもダメだ、豪炎寺は秋の好きな人で、俺は男だから絶対にダメなんだ。顔を逸らせば、豪炎寺も背中を向けた。


バスの中では秋と隣に座り、ただぼうっとしていたけど、秋に声を掛けられた。
「豪炎寺くんのコト、まだ許せない?」
「えっ……だって、ずっと『風丸』のフリして騙してたんだぞ?早くに『豪炎寺』だって言ってくれたら秋の好きな人だって、すぐわかったのに」
「……なんで豪炎寺くんは、そんな嘘をついたのかな」
「……そんなの、俺が知りたい」
どうして、あんな嘘を付かなきゃいけなかったのか、俺は斜め前の席でおとなしく座る豪炎寺を見つめた。
「あのね円堂くん、ずっと言おうと思ってたんだけど……あの、」
「大丈夫!俺、応援するから!」
「え……いや、」
「そんで、絶対楽しいキャンプにするぞ!」
すると秋は困ったように笑って、頷いてくれた。



「それではここからグループに分かれて行動します。まず一班、風丸、豪炎寺、円堂、木野」
苦笑いしか出なかった。まさか、よりによって豪炎寺となるなんてついてるのかついていないのか、俺はため息をついた。
「風丸だ、よろしく」
「あ、よろしく!」
本物の風丸は初めて見たけど、なんだか凄く綺麗でかっこいい。俺も流れで挨拶したけど、豪炎寺にはまだしてない。おそるおそる見て、無理矢理笑顔を作った。
「ご、豪炎寺も、よろしくな」
すると顔を逸らされて、俺は行き場をなくした笑顔を沈めた。はあ、とため息をつけば秋が慰めてくれて、なんとかまた元気が沸いてきた。そう、これはキャンプだ。楽しくすればいい。
「おっ!秋、見ろよ水だ!なんかいるかなー……ぅわあっ!」
岩場に乗ったからか、片足が滑って落ちそうになった。だけど豪炎寺が手を伸ばして俺の腕を掴んでいて、俺は落ちずにすんだ。豪炎寺も無意識だったのか、少し驚いていた。



20100414
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