この時間が憂鬱に感じるのは私だけなのか、大体一週間にやる授業の回数が多過ぎる。晴矢の隣を歩きながら、小さく息を吐いた。パソコン室に入って席に座り、隣には不動。
私は教材を机の上に置いて眼鏡を掛ける。すると私の脚につん、と不動が爪先でつついてきた。ちらと横目で見ればにやりと返された。
「昨日は、ドーモ」
「……!」
いつも怪しい笑みで私を見るくせに、今度のはなんだか見ていて心地がいい笑みだった。なんというか、照れていただけだったけど、不動がおもしろかった。



今日もまた晴矢とは帰れない。私は廊下で風丸を待ちながら壁にもたれていた。何か用事があるらしいけどなんなんだろう。しばらく待っていたら女子が目の前を走って行った。
なんだろうと女子の後ろ姿を見ていたら、泣いていた。よくわからなかったけれど、多分泣いていた。
「ごめん、待たせたな涼野」
「え、いや、大丈夫」
風丸が戻って来たから私は走って行く女子を見るのをやめた。いつもと変わらない様子だったけれど風丸が瞼を伏せた時、なんだか疲れているように見えた。もしかしてさっきの女子は風丸に用があったのだろうか。
「用事って、さっき走って行った女の子かい?」
「ああ、あの子か、まあな」
「ふうん……もしかして」
「まあ、そんなところだ」
苦笑いをした風丸に、なるほどね、と笑みをこぼした。告白とは、あの女子もやるじゃないか、確かに風丸が彼氏なら自慢物だろうな。
「あの様子だと、冷たくふったようだね」
「まさか。優しく断ったつもりさ」
「へえ……っ、」
「どうした?」
「いや、また喉が痛くて……」
朝からキリキリと痛む喉を押さえる。隣に居る風丸は自分のポケットをまさぐっていたが何もない。鞄に手を伸ばし、風丸の手が止まった。
「あった、よかった」
フルーツのど飴と書いてある袋を風丸が開け、飴を取り出した。フルーツなら私でも舐めれるから安心したら、風丸は自分の口に飴を放り投げた。あ、と声をもらしたけど風丸はもごもごと口を動かした。
唖然としていたら風丸の顔が目の前にあって、離れようと一歩下がったらむにゅりと風丸の柔らかい唇が当たった。風丸の腕を掴んで押し返そうとしたらコロン、と何かが歯に当たり口から音を立てた。あ、飴だ。
「これで吹雪と同じ、だろ?」
「……ぁ、え」

私の口の中でとろける飴は、風丸の熱で暖まり、フルーツの味が広がった。風丸が私の唇をなぞり、微笑んだ。



20100413
今回は風丸のターンv
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